【記事の要約(ここだけでもポイントは掴めます)】
- AI モデルごとに引用元がまったく異なる: Amazon の引用シェアは Microsoft Copilot で 4%、ChatGPT では 0.1%、Gemini では 0% と、プラットフォームによって大きく変動しています(Tinuiti 調べ)
- 米国データでは、ChatGPT は Reddit を、Google は YouTube を優先的に引用: ChatGPT の引用元 1 位は Reddit で全体の 28.9%、Google の引用元 1 位は YouTube で 21.1% でした(Adobe・Semrush の米国データ調査)
- AI への信頼は急速に高まっている: AI の回答を従来の検索エンジンと同等以上に信頼できると答えた米国の生成 AI 利用者は 95% にのぼります(Adobe 消費者調査)
- 計測の標準がまだ存在しない: 米国の広告主・代理店の意思決定者 200 人のうち 45% が、AI 経由と従来チャネルの顧客導線を比較する計測を最大の課題として挙げています(IAB 調査)
日本のマーケターにとって重要なのは、「引用元はモデルや市場によって構造的に分かれる」という前提そのものを持つことです。本記事後半では、この米国データと LLMOA(エルモア)で計測した日本のデータを、異なる軸で比較します。
本記事の海外データは Digiday(2026年9月15日、Seb Joseph 記者)の記事、および同記事内で引用されている Adobe・Semrush・Tinuiti・IAB・Scrunch 各社の調査に基づいています。また、記事後半で日本国内データとして紹介する LLMOA(エルモア)のデータは、2026年8月時点の実測レポートに基づく参考値です。
自社のAI引用・言及の現在地を知るなら:LLMOA(エルモア)
AI はブランドを「順位付け」しない、「話題に出すかどうか」を決める

AI 可視性の担当者を新設する企業が増えている
生成 AI がブランドについて回答するとき、そこには従来の検索順位のような明確な序列がありません。あるかないか、話題に出るか出ないかという二択に近い判定が行われているというのが実態です。
この構造変化に対応するため、海外企業では「AI 検索領域の責任者」というポジションを新設する動きが出ています。理由は単純で、どうすれば AI に選ばれるのかについて、まだ誰も確立した答えを持っていないためです。
一部のブランドは、答えが出るのを待たずに、チャットボットでの語られ方を変えるために広告予算の配分そのものを動かし始めています。
業界団体(IAB)のガイドラインでも、まだ「決定基準」の合意には至っていない
米国の広告業界団体である IAB(Interactive Advertising Bureau)は、2026年8月に AI 可視性測定のガイドライン「4つの P(プレゼンス・プロミネンス・ポートレイヤル・パーセイジョン)」をすでに公開しています。ただし IAB 自身が、この文書を「スタンダード」でも「フレームワーク」でもなく、あえて「ガイドライン」と位置づけています。
乱立する計測ベンダーに共通の語彙・品質基準を与えることが目的であり、「何を計測すれば正しいデータ収集と言えるのか」「そもそも何が AI の推薦を左右しているのか」について、意思決定に使える水準(IAB の言う「デシジョングレード」)の合意にはまだ至っていません。
ガイドラインは存在しても、業界全体が同じ基準で結果を比較できる状態には、まだ距離があるというのが現状です。
INSIGHT CUBE 参考:「AI 検索可視性」の測定ガイドライン公開|IAB が示した「4つの P」と2段階測定の実務ポイント
Amazon の事例が示す、プラットフォームごとの引用元の激しい差

Amazon の引用シェアは Microsoft Copilot で4%、ChatGPT で0.1%、Gemini で0%
計測企業 Tinuiti のデータによると、Amazon の引用シェアはプラットフォームによって大きく異なります。2026年7月の実績では、Microsoft Copilot での引用シェアが 4% だったのに対し、ChatGPT ではわずか 0.1%、Gemini では 0% でした。Copilot での突出した成績が、複数の商品カテゴリを横断した平均引用シェアを押し上げている状態です。
一つの AI モデルにとっての主要な情報源が、別のモデルではほとんど参照されていない。この「引用元の非対称性」こそが、AI 可視性計測を難しくしている最大の要因です。
プラットフォームレベルでの引用行動を継続的に把握することが、AI 検索・AI コマース戦略を組む上での前提になりつつあります。
米国では、AI モデルによって参照する情報源の「優先順位」が分かれる

米国データでは、ChatGPT は Reddit 経由が28.9%でトップ、Google は YouTube 経由が21.1%でトップ
AI モデルには、同じ質問に対して同じブランド名を挙げていても、その根拠として参照する情報源はモデルによって異なるのが実態です。
AEO(Answer Engine Optimization、生成 AI の回答内で選ばれるための最適化)を手がける Semrush が、Adobe と共同で実施した米国 22 カテゴリ・2026年1〜6月のデータ調査によると、ChatGPT は Reddit を最も多く引用しており、その割合は全引用の 28.9% にのぼります。一方で Google が最も多く引用するのは YouTube(21.1%)で、2 位は Facebook(17%) でした。
この数値は米国データである点に注意が必要です。 調査対象は米国内の 22 カテゴリに限定されており、コミュニティサイト・SNS の利用構造が異なる日本市場に、同じ数値をそのまま当てはめることはできません。日本市場での比較は、後述の「LLMOA データとの比較」セクションで扱います。
YouTube への引用も、AI モデルによって温度差がある
「YouTube は生成 AI に広く引用される」という見方も、額面どおりには受け取れません。
計測企業 Scrunch が、複数の AI プラットフォームの回答を同じ条件で比較した 2026年5〜7月の分析によると、Google AI Mode・Google AI Overviews・Gemini(一部を除く)・Perplexity は YouTube を継続的に引用する一方、ChatGPT と Microsoft Copilot ではその傾向が弱いという結果が出ています。
「YouTube を押さえておけば AI 検索対策になる」という単純化は、モデル間の差を見落とすリスクがあります。
AI への信頼は、マーケターの対応速度を上回るペースで高まっている

生成 AI 利用者の95%が、AI の回答を検索エンジンと同等以上に信頼している
2026年7月に Adobe が米国の消費者 5,000 人超を対象に実施した調査によると、AI に相談する人のうち 95% が、その回答を従来の検索エンジンと同等以上に信頼できると回答しており、うち 29% は「非常に信頼できる」と答えています。
この信頼度は AI の利用頻度が上がるほど高まる傾向にあり、AI をまだ使っていない層でもすでに 9% が検索エンジン同等以上と評価し、AI を試した層では 94%、日常的に使う層では 97% にまで上昇します。
このアンケート結果から、マーケターは「ほとんどのユーザーがAIを信頼する」という前提に立たなければいけません。海外の一部企業では、キャンペーンの起用前に「そのクリエイターがすでに AI の回答に登場しているか」を確認する動きや、どの情報源が引用されどう評価されているかを推測ではなく計測するツールを整備する動き、さらには自社の経営陣の発言や投資家向け説明を、クリエイターのコンテンツと同じ基準で検証する動きまで出ています。
日本ではどうか|米国とは異なる軸で LLMOA(エルモア)データを比較する
米国は「AI モデル別」、日本は「BtoB / BtoC 別」で引用元が分かれる
ここまで紹介した米国データは、いずれも「どの AI モデルが、どの情報源を優先的に引用するか」という軸で整理されています。
一方、グラッドキューブの LLMOA(エルモア)が日本国内で計測したデータを見ると、引用元の傾向を分ける軸は「AI モデル別」ではなく「BtoB / BtoC 」で大きく異なるというデータの偏りが現れています。
調査結果の詳細は「AI の回答根拠、自社サイトは平均 8.7% だけ|LLMOA(エルモア)が計測した 8 業種データが示す「第三者メディア依存」の実態」をぜひご確認ください。
「比較サイト・専門メディア」は BtoB・BtoC 共通の上位引用元

LLMOA(エルモア)で国内 8 業種の引用元を横断集計した既報(後述)によると、比較サイト・専門メディアは BtoB・BtoC を問わず引用元の上位に共通して入ります。
その上で、事業者向け(BtoB)の業種では動画プラットフォームやユーザーコミュニティの書き込み、SNS・UGC といった実体験ベースの情報源も上位に目立ち、専門性の高い判断材料をコミュニティの生の声から拾っている様子がうかがえます。
一方、消費者向け(BtoC)の業種では業界特化メディアと競合の公式サイトが引用元の中心で、業種によっては公的機関のサイトが上位に入るケースもあります。
どの第三者メディアを優先して攻略すべきかは、BtoB か BtoC かによって大きく変わるというのが、当社のLLMOA(エルモア)が計測した、国内データの実態です。
前項でも紹介していますが、LLMOA(エルモア)が計測した「AI の回答根拠、自社サイトは平均 8.7% だけ|LLMOA(エルモア)が計測した 8 業種データが示す「第三者メディア依存」の実態」を公開しておりますので、ぜひご参考にご確認ください。
米国データの「ChatGPT は Reddit、Google は YouTube」という切り口を、日本企業にそのまま当てはめようとしても、業種やサービスにより異なるため、まずは自社ブランドやサービスがどこから引用・言及されているかを正しく把握するところから始めましょう。
計測は、AI の進化のスピードに追いついていない
米国では、AI 経由と従来チャネルの計測比較を最大の課題と回答した意思決定者が45%

同じ質問を AI に投げても、返ってくる回答は毎回変わり得ます。これは、ブランド可視性のスコアリングという行為そのものが、固定された数値ではなく動き続ける対象であることを意味します。
仮に一時的に数値が安定しても、AI モデルがアップデートされるたびに、それまで追っていた指標が一晩で変わってしまうこともあります。ブランド側は何も変えていなくても、モデルが「覚える情報」を増やしただけで数値は動きます。
この不安定さは、計測サービスを提供する企業同士の見解の相違という形で表面化しはじめており、CMO(最高マーケティング責任者)に対して「ブランドを築くとはどういうことか」というより根本的な問いを突きつけています。
IAB が実施した調査では、米国のブランド・代理店の広告投資意思決定者 200 人のうち 45% が、AI 経由と従来チャネルの顧客導線を比較する計測を、現在最大の課題として挙げています。
LLMOA(エルモア) で自社の引用元の傾向を計測する
自社ブランドが AI にどのモデルで、どの情報源を根拠に引用されているかは、実際に AI の回答を収集しなければ把握できません。
グラッドキューブの LLMOA(エルモア)は、ChatGPT・Gemini・Perplexity・AI Overviews を横断して、自社ブランドの言及率・引用元の内訳・競合比較を計測します。
海外の傾向データを参考にしつつ、自社が実際にどの軸で引用元が分かれているのかを確認することが、AI 可視性対策の出発点になります。
まとめ:海外の引用元データより、自社が置かれた軸を先に見極める
- AI はブランドを順位付けせず、話題に出すかどうかを決める。Amazon の引用シェアは Microsoft Copilot で 4%、ChatGPT で 0.1%、Gemini で 0% と、モデルごとに大きく異なる。
- 米国データでは、ChatGPT は Reddit(28.9%)、Google は YouTube(21.1%)を最も多く引用する。ただしこれは米国 22 カテゴリの調査結果であり、日本市場にそのまま当てはめられる数値ではない。
- LLMOA(エルモア)で計測した日本のデータでは、引用元の傾向は「AI モデル別」ではなく「BtoB / BtoC 別」に近い形で分かれる。BtoB は動画・コミュニティ、BtoC は業界メディア・競合公式サイトが中心。
- AI への信頼は利用頻度に比例して急速に高まっており(利用者の 95% が検索エンジン同等以上と回答)、計測の標準化はまだ追いついていない(米国意思決定者の 45% が計測を最大の課題と回答)。
- 海外の個別プラットフォームの引用元データを覚えるより、自社がどの軸(モデル別か、BtoB / BtoC 別か)で引用元が分かれているかを、自社のデータで先に確認することが優先事項です。
海外のケーススタディは、AI 可視性計測という課題の輪郭を掴む材料として有効です。
ただし、そこで示される個別の数値をそのまま自社の施策に転用しても、市場構造の違いから成果には結びつきにくいというのが実態です。まずは自社のAI引用・言及の現在地を計測するところから始めましょう。
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関連記事
→ AI の回答根拠に占める自社ドメインの引用シェアは平均 8.7% にとどまるという、LLMOA(エルモア)が計測した国内 8 業種のデータを解説。本記事で紹介した BtoB / BtoC 別の引用元の傾向は、この記事の集計データと同じ調査に基づいています。
→ 「自社で 28 日間・2,133 回 AI 検索の可視性を計測した結果」を公開。LLMOA(エルモア)のサンプルレポートで見る「計測から改善まで」の全プロセスを解説しており、国内データがどのように収集されているかを確認できます。
よくある質問(FAQ)
- Q. AEO(Answer Engine Optimization)とは何ですか?
- A. AEO とは、生成 AI の回答の中でブランドが引用・言及されるように最適化する取り組みのことです。従来の検索順位を上げる SEO とは異なり、AI が回答を組み立てる際の情報源として選ばれることを目的とします。
- Q. なぜ AI モデルによって引用元が異なるのですか?
- A. AI モデルごとに、回答の根拠として優先的に参照する情報源の種類が異なるためです。米国データでは ChatGPT は Reddit を、Google は YouTube を最も多く引用する傾向がありますが、これはモデルごとの学習・検索の仕組みの違いによるものです。
- Q. 米国の引用元データは、日本のブランドにもそのまま当てはまりますか?
- A. そのまま当てはまるとは言えません。米国データは米国内 22 カテゴリの調査結果であり、コミュニティサイトや SNS の利用構造が異なる日本市場では、LLMOA(エルモア)で計測した国内データでは「AI モデル別」よりも「BtoB / BtoC 別」に引用元の傾向が分かれる形で現れています。
- Q. AI 可視性の計測は、なぜ難しいとされているのですか?
- A. 同じ質問を AI に投げても回答が毎回変わり得るうえ、AI モデルのアップデートのたびに計測値が変動するためです。米国の広告投資意思決定者の 45% が、AI 経由と従来チャネルの顧客導線を比較する計測を最大の課題として挙げています。
参照・引用出典
- Seb Joseph, “In Graphic Detail: Inside the scramble to measure a brand’s AI visibility,” Digiday, September 15, 2026.: https://digiday.com/marketing/in-graphic-detail-inside-the-scramble-to-measure-a-brands-ai-visibility/
- LLMOA(エルモア)で計測した国内複数業種の可視性データ(サンプル、匿名化済み)。業種名・個別の測定条件は非開示。



