「90秒スキップできない」YouTube 広告は進化するのか、視聴者に見放されるか

「90秒スキップできない」YouTube 広告は進化するのか、視聴者に見放されるか

「YouTube広告は5秒でスキップされるもの」——そんな常識が覆るかもしれません。

YouTube がテレビ画面向けに「90秒間のスキップ不可広告」のテストを開始しました。これは単なる広告枠の拡張ではありません。リビングルームの主役が地上波からデジタルへと完全に交代し、「テレビCMのあり方そのものが大きく変わる」ことを告げる号砲です。

※なお、本記事は2026年4月時点の Search Engine Land による観測情報です。正式展開・仕様は今後変更される情報を含みます。


【記事要約】

  • YouTube がテレビデバイス向けに「90秒スキップ不可広告」のテストを行っているとSELが報告(2026年4月10日時点の観測情報。正式展開・仕様は未確定)。
  • この動きは YouTube が地上波テレビに近いプレミアム広告体験をデジタルで実現しようとする方向性を示しており、ブランドマーケティング戦略の根本的な見直しを迫るシグナルとして読み取れる。
  • CTV(コネクテッドテレビ) ファーストなクリエイティブ戦略・クロスメディアKPI再構築・フリークエンシー管理の厳格化という3つのアクションを解説する。

背景:テレビ画面が「Youtube広告の主戦場」へ

近年、YouTube の視聴環境は急速にスマートフォンからテレビ画面へとシフトしています。これは今に始まったことではなく、テレビリモコンに「YouTube」のボタンが搭載され、2018年頃から普及しました。

日本国内においても、YouTube をテレビで視聴するユーザーは2023年時点ですでに3,800万人を超えているとされており(参考:日系MJ)、リビングルームにおける「地上波 vs YouTube」の構図は決定的なものとなりました。

今回の「90秒間スキップ不可広告」のテスト背景として、まず経緯を整理します。
YouTube はすでに「30秒のスキップ不可広告」をテレビデバイス向けに導入しており、今回の90秒はそこからのさらなる拡大テストです。

この段階的な長尺化の背景には、地上波CMに近い視聴体験の提供、広告表示回数の適正化、そしてプレミアムイベントリ(Premium Inventory)の価値向上という3つの要因があります。

YouTube広告変化の本質:デジタル広告の「アテンション」の再定義

この変化の本質は、デジタル広告が「効率重視の刈り取り型」から「質重視のストーリーテリング型」へと、その役割を完全に拡張したことにあります。

これまで YouTube 広告の多くは、冒頭の数秒にロゴや結論を詰め込む「スキップされることを前提とした構成」が推奨されてきました。しかし、90秒間スキップ不可という制約は、クリエイティブのルールを180度変えます。

これは、デジタル広告が「いかにクリックさせるか」という指標から、「いかにブランドの世界観に没入させ、記憶に定着させるか」という、元来の伝統的なテレビCMが持っていた「ブランド認知力」をデジタルのターゲティング精度でさらにアップデートしようとしていることを意味します。

Googleは「Youtube 広告を高精度なターゲット可能なテレビCM」にしようとしている

YouTube広告の変化は企業のマーケティングにどう影響するか

日本市場におけるマーケティング責任者が直視すべき影響は以下の通りです。

TVCM素材の再定義として、既存の30秒・60秒のテレビCM素材をそのまま流用するのではなく、YouTube CTV専用に最適化された「90秒のナラティブ(物語)」が求められるようになります。

ターゲット層の拡大と深化として、特にテレビ視聴時間が長い中高年層や、家族でテレビを囲む世帯に対し、深いブランドメッセージを届けることが可能になります。

ただし、これはユーザーに対して不快感に繋がる可能性も非常に高いのではないかと考えられます。
現在、動画配信サービスの広告に対して、「嫌い」「どちらかといえば嫌い」と答えた人は64.8%にのぼります。

地上波テレビの場合は、「そもそもそういうもの」として受け入れているユーザーは多いと思いますが、オンライン動画配信サービスの場合は「CMがあまり入らないもの」として見ていたユーザーも多いはずです。

これほどまでに不快感を示しているユーザーが多いなか、どのぐらい受け入れられるのかは未知数です。

YouTube広告の変化に備えた具体的なアクション例

1. 「CTVファースト」なクリエイティブ戦略の策定

これまでの「スマホ向け縦型動画の流用」だけではなく、テレビ画面というリッチな視聴環境に耐えうる高画質・高音質なコンテンツ制作に投資をしてください。

90秒という時間は、製品のベネフィットを伝えるだけでなく、企業のビジョンやパーパスを伝えるのに十分な長さです。

スキップされないことを前提とした、映画的な構成や感情に訴えかけるストーリーテリングの導入を検討しましょう。

2. クロスメディアでのKPI設計の再構築

90秒広告の効果は、短期的なクリック率(CTR)やコンバージョン(CV)では測れません。サーチリフト(検索数の上昇)やブランドリフト調査(認知度・購入意向の向上)を主軸に据えた評価系を構築してください。

また、CTVで認知したユーザーが後にスマホでリターゲティング広告に接触してコンバージョンに至るという「デバイスを跨いだアトリビューション」を可視化することが重要です。

3. 「フリークエンシー(接触頻度)管理」の厳格化

90秒の長時間広告は、一度の接触によるインパクトが非常に強い反面、短期間に同じユーザーに何度も見せると強い拒絶反応を引き起こします。

キャンペーン設計においてフリークエンシーキャップ(一人当たりの露出回数制限)を厳格に設定し、「質の高い1回のアテンション」を最大化する運用へとシフトしてください。


90秒で「引き込む」動画コンテンツを、どう作るか。そしてその先の接客へ。

「90秒スキップ不可」という制約は、ある意味「テレビCM」への回帰であるとも受け取れます。ただし、Youtube広告の場合はよりターゲットに対して精度高く配信をすることができるため、その分「パーソナライズされた動画CM」がより重要になるはずです。

90秒間を、単なる「広告枠」として消費するのか、それとも「顧客との深い対話の時間」に変えることができるのか。この判断が、今後のブランドの競争力を左右することになるでしょう。

しかしながら、感情に訴えるストーリーテリングや高品質な映像をすべて企業が内製をしていくことは至難の業です。
グラッドキューブが提供するDra Vis(ドラビス)は、YouTube ショート・Instagram リール・TikTokなどに対応したショートドラマ制作サービスです。

同サービスは縦型ショート動画だけではなく、横長の長尺動画やAIを活用したアニメーション制作など、「物語でブランドを伝える」ということ自体をサービス提供しておりますので、気になる方はぜひ動画制作実績をご覧ください。

また、YouTube CTV広告で認知したユーザーがサイトを訪問した際、動画接客でその「物語」を継続させるならSiTest Engageのピクチャインピクチャ・動画ポップアップ機能が、流入後のCVRを引き上げる接客体験を実現します。

ユーザーに対して、サービスやブランドの「ドラマ」をYoutube広告、ウェブサイト上で伝えエンゲージメントが途切れないような設計を目指しましょう。

👉Dra Vis(ドラビス)の詳細はこちら 

👉SiTest Engageの詳細はこちら 

—-

記事執筆:株式会社グラッドキューブ 佐谷 建斗

参照記事:https://searchengineland.com/youtube-tests-90-second-unskippable-ads-on-tvs-474028