INSIGHT CUBE 共創インタビュー|インタビュー実施日:2026年4月8日
インタビュイー(左):株式会社プロディライト 経営企画室 室長 清水 達也 氏
インタビュワー(右):株式会社グラッドキューブ InsightCube 編集長 佐谷 建斗
クラウドPBX「INNOVERA(イノベラ)」を提供する株式会社プロディライト。約4年前、マーケティング部門すら存在せず、サービスページも手作りの状態からスタートした同社が、今や年間セッションは約10倍・契約数206%増という驚異的な数字を達成した。その軌跡の中心にいたのが、マーケティング責任者の清水氏だ。当社グラッドキューブの広告運用支援から始まり、SEO戦略への転換、Googleアルゴリズム変動という逆境、そしてAIアバター接客の導入へ。
「広告費は資産にならない」という確信とともに、清水氏が積み上げてきたものとは何か。

はじめに
まずプロディライト様の事業について教えてください。どのような顧客に、どのような価値を提供している会社ですか?
清水様:
当社はクラウドPBXと呼ばれる、固定電話の機能をクラウド上で提供するサービス「INNOVERA」を展開しています。従来はオフィスに設置した固定電話でしか使えなかった市外局番での発着信を、スマートフォンやPCからも利用できるようにすることで、場所に縛られない電話環境を実現しています。
これまで「どこでも固定電話と同じ機能が使える」「災害時やテレワーク時にも事業を止めないBCP対策として有効」といった点が提供価値の中心でしたが、現在はそれだけにとどまらず、クラウドPBXを基軸とした音声コミュニケーションプラットフォームへと進化しています。
具体的には、「AIを活用した自動応答」や「通話内容の文字起こし」「データの可視化と活用」などの付加価値を提供することで、電話対応そのものをより効率的でスムーズなコミュニケーションに変えていくことを目指しています。単に「電話をクラウド化する」というだけでなく、企業のコミュニケーション全体の生産性を高めることが、現在の提供価値だと考えています。

1. 「何もない」からのスタート—マーケティング部門の立ち上げ
——まず、グラッドキューブとお付き合いが始まった4年前の状況を教えてください。
清水様:
正直に言うと、当時マーケティング部門が存在しなかったんです。それどころか、サービスページすらなかった。私が入社した時、Webの担当者は誰もいなくて、WordPressのテンプレートをはめ込んで手作りのホームページを作るところからでした。当時、営業事務だった坂田(現Webマーケティング担当)がデザインもできるということで、本当に二人でゼロから立ち上げた感じです。
——Web広告を始めるにあたって、社内の予算承認はどうされたのですか?
清水様:
マーケティングへの予算という概念がそもそもなかったですね。「チラシ刷るならこれくらい」というレベルでした。
社内の説得には相当頭を悩ませていました。私自身が当時IPO準備の中で経営戦略を担当しており、広報やプロモーションまで含めて全体をどう設計していくかを考える立場にありましたので、その中で、「Webマーケティングによる認知拡大も経営戦略の一手段」であるという整理をし、予算を取り付けました。
——当時広告運用の支援からスタートしておりました。なぜ、数多くある広告代理店の中からグラッドキューブを選んでいただいたのでしょうか。
清水様:
当時の代理店選定基準としては、私自身がWebマーケティングの専門家ではないので、「専門用語を聞いても、ちゃんと答えてもらえるか」「手厚いサポートがあるか」を重視していました。あとは、「大阪の会社」がいいなというのもありましたね。
コンペにていくつかの代理店からご提案はいただいていましたが、「どこまで一緒に考えてくれるか」という点を重視していました。多くが広告運用の実務部分、いわゆる「運用代行のみ」の提案に終始している中で、グラッドキューブさんはそれ以上に踏み込んだ、かなり手厚いサポートをしてくれそうだと感じました。他社さんの提案はどうしても局所的に感じるものが多かったのですが、グラッドキューブさんは、中長期の視点を持って支援してくれそうだと感じたのです。
そして、最後は対応力が決め手になりました。当時、担当してくださった松本さんに本当にいろいろと相談に乗っていただきました。予算の制約もあり無理を言うことも多かったと思いますが、それでもしっかりとまとめて対応していただきました。
Webマーケティングというと、どうしても機械的・数値的なやり取りになりがちですが、そうではなく、人として向き合ってもらえた。その点も、最終的にグラッドキューブさんを選んだ大きな理由だと考えています。

2.「広告費は資産にはならない」——SEOへの戦略転換
——当初は広告運用からご支援を開始させていただきましたが、「SEOやコンテンツマーケティングで集客を伸ばす」という方向性を選んだのはなぜでしたか?
清水様:
(短期的な施策の場合)広告は止めたら終わり、じゃないですか。予算を投下している間は流入がある、でも止めた瞬間にゼロになる。それは会社の資産としては残らないですよね。
私はもともとコンサルの経験があり、日本の総合電機メーカーにおけるブランディングに携わる機会がありました。その経験を通じて、ブランディングとは単なる認知獲得ではなく「中長期的に企業価値を高めていく資産」であると考えています。この根底には、デービッド・アーカーの「ブランド論(※)」があります。
その前提に立つと、当社は「クラウドPBX」という領域において、「電話の次の世代をリードする存在でありたい」という思想を軸に事業とブランドを築いてきました。広告を出している間だけ露出が増えるような刹那的な施策よりも、本気で導入を検討する方が検索した際に、自然と目に入り、信頼してもらえる状態を作ることの方が重要だと判断しました。
そういった考えから、IPOも見据える中で、「Webにコンテンツ資産を積み上げて、サービスを探している人に自然とリーチできる状態を作る」という方針に切り替えました。その結果、2023年の中頃からSEOに本腰を入れ始めて、2024年には前年比でセッション数が約10倍となりました。
——社内の説得やSEOコンテンツ制作体制の苦労はありましたか?
清水様:
先ほどの通りですが、「中長期的な資産になる」という点を経営戦略として説明し、代表からの理解を得ることができました。社内にデザイナーがいたこともあって、コンテンツ制作の体制は比較的整えやすかったです。
一方で、一番大きな壁だったのは文化面、特に責任の所在でした。スタートアップ企業あるあるかもしれませんが、当時は部署ごとの役割や責任が明確でなく、「誰が最終的に責任を取るのか」「どこまで踏み込んでいいのか」という空気がありました。
SEOやコンテンツマーケティングは中長期の取り組みになるため、「うまくいかなかったらどうするのか」という問いが生まれやすく、ここを曖昧にしたままでは前に進めないと感じていました。
だからこそ、最終的には私が「やる」と腹をくくって進めました。これは私の持論でもありますが、部署やチームが強い意志を持って旗を立てなければ、特にSEOのような施策で成果を出すことはできません。その姿勢を示し続けたことで、少しずつ「マーケティングを軸に考える」という文化が社内に浸透していきました。
振り返ると、施策以上に、「責任を明確にして意思決定する重要性」を組織として学んだプロセスだったと感じています。
——2024年にはセッション数が前年比約10倍に急増しました。現場でその変化を実感したのはどのような瞬間でしたか?
清水様:
セッション数・コンバージョン数増加に伴って、問い合わせの質も大きく変わりました。それまでWebでの問い合わせは小規模事業者が中心でしたが、この頃から明らかに大手企業様からの問い合わせが増えました。
「きちんと比較・検討したうえで声をかけていただいている」という感覚があり、こちらの受け止め方も変わりました。実際、MRRも結果的に4倍以上に成長し、セッション増加がしっかりと事業成果につながっていることを実感できました。
社内の雰囲気も大きく変わりました。Webを通じた露出が増えたことで、会社やサービスの知名度が確実に上がっているという手応えがあり、それに伴ってマーケティングやWebに関わるチームの社内でのプレゼンスも高まりました。「やってきたことは間違っていなかった」という共通認識が生まれ、組織全体に前向きな空気が広がったように感じています。
3. Google アルゴリズム変動という「試練」——逆境が生んだ次の一手
——SEO対策で順調に成果を出していた中、「 AI Overviews / 生成AI 」の登場によって、突如セッションが急落するという危機にも見舞われました。この状況に気づいたとき、率直にどう感じましたか?
清水様:
マーケティングは不確実性の高い領域だと理解してはいましたが、Googleの検索アルゴリズムの変化やAIの進化といった外部要因によって、これまで積み上げてきた成果が一気に揺らぐ現実を突きつけられ、Webマーケティングの難しさと不条理さを改めて実感しました。
特にSEOは、自分たちではコントロールできないアルゴリズム変更や市場環境の変化と常に隣り合わせです。どれだけ正しいと思う取り組みを続けていても、前提条件が変われば評価軸そのものが変わる。その意味で、今回の出来事は不確実性を強く認識するきっかけになりました。
社内では議論はありましたが、「すべてを予測することはできない」という点では比較的冷静でした。変化は避けられない以上、一喜一憂するのではなく、不確実性を前提にどう対応するかを考えるべきだという方向に落ち着きました。中長期視点で積み上げてきたからこそ、柔軟に戦略を見直していくフェーズに入ったと捉えています。

——セッション減少という状況の中、弊社からはCVR改善の手立てとしてサービスサイトへの「SiTest」による「動画接客・AIアバター接客」をご提案させていただきました。正直なところ、最初はどの程度期待していましたか?
清水様:
正直に言うと、やや懐疑的でした。私自身、何かのサービスを探すときは、動画や演出よりも、できるだけシンプルに整理された情報を知りたいタイプだからです。そのため、動画接客やアバターが本当に意思決定を後押しするのかについては、半信半疑でした。
また、セッションが減少している状況の中で、新しい打ち手を試すこと自体には意味がある一方で、「これが本質的な改善につながるのか」という点では慎重になっていたと思います。CVR改善という狙いは理解できるものの、ユーザー体験を損ねてしまわないか、逆に離脱を招かないかという懸念もありました。
ただ、既存のやり方だけでは限界が見え始めていたのも事実です。セッション数を無理に追うのではなく、今ある流入をどう活かすかという局面に来ていた中で、「やらずに否定するより、まずは検証して判断しよう」という考えから導入を決めました。期待値は決して高くありませんでしたが、だからこそフラットに効果を見極めようというスタンスでした。
4.「イノベッティ」が生んだブランド資産——キャラクターが差別化を作る
——SiTestによる動画接客・AIアバター接客を導入してから、サイト訪問者のCVRが0.11%→0.30%に改善しました。反応やコンバージョンの変化をどのタイミングで、どのように実感しましたか?
清水様:
CVRが改善した点ももちろんですが、それ以上に実感したのは、サイト経由の流入やCVのばらつきが減り、安定したことでした。セッション数を大きく伸ばせない中でも、成果が読みやすくなった感覚があり、比較的早い段階で変化を感じました。
動画接客・アバター接客は、まるで対話するように自然に問い合わせを後押ししてくれる仕組みだと感じています。今後、世の中全体がAI検索や対話型UIにさらに慣れていけば、より効果が出てくる余地もあるのではないかと思っています。
——AIアバターにオリジナルキャラクター「イノベッティ」を採用されましたが、その経緯を教えてください。

清水様:
「イノベッティ」については、ちょうどINNOVERA 10周年記念で出したばかりのキャラクターだったこともあり、打ち合わせの場で「ちょうどいい、使ってみよう」と決めたのが正直なところです。
ただ実際には、インサイドセールスの架電の際に「あのキャラクターの、電話のサービスですよね」と思い出していただけることもあり、CVR改善に加えて、サービス想起のきっかけにもなっていたのは想定外の効果でした。
クラウドPBXは、機能だけで差別化するのが難しくなってきている中で、この「イノベッティ」がサービス認知とブランディングに貢献してくれていると感じています。

ユーザーのニーズに合わせて適切に誘導をする「ナビゲーター」の役割をしている。
5 AI時代の本質——「手法は変わっても、探している人の意図は変わらない」
——LLMOやAI検索の台頭で、マーケティングの前提が変わってきています。清水さんはどう捉えていますか?
清水様:
アルゴリズムが変動した時に改めて気付きましたが、手法は変わっても、「検索している人・探している人が何を考えているか」という本質は変わらないということです。そこにフォーカスし続けることが重要だと再認識しました。
もう一つは、ブランドのあり方に対する考え方です。機能や価格といった分かりやすい差別化だけでは、AI検索が当たり前になる時代を乗り切るのは難しい。比較され、要約される世界だからこそ、「なぜこの会社なのか」「なぜ思い出されるのか」という、独自のブランド力がこれまで以上に重要になると感じています。
こうした変化に一社だけで向き合うのは簡単ではありませんが、検索体験やユーザーの変化を一緒に考え、試行錯誤しながら伴走してくれる存在があることは大きいと感じています。その意味で、今回の取り組みは成果だけでなく、これからのマーケティングの向き合い方を再定義するきっかけになりました。
——同じような課題を抱えている会社へのメッセージをお願いします。
清水様:
Webマーケティングやデジタル施策の選択肢が増えるほど、「どの手法が正しいか」「どの媒体が効くか」に意識が向きがちですが、最終的に向き合うべきなのは、「検索の先にいる“人”が何を考え、何に迷っているのか」に尽きると思います。手法が目的化してしまうと、集客はできても、意思決定や収益にはなかなか結びつきません。
不確実性が高まる今の時代では、機能や価格の差別化だけでなく、「なぜこの会社が選ばれるのか」「なぜ記憶に残るのか」という視点で、事業やブランドを問い直す必要があります。ただ、その考えを形にし、実装までやり切るのは一人では簡単ではありません。だからこそ、検索体験やユーザーの変化に一緒に向き合い、試行錯誤を伴走してくれる存在をうまく頼ることも、重要な選択肢ではないでしょうか。
インハウス(社内内製)で全部やろうとしても、そこには限界があります。
AIでこれだけ変化が速い時代に、自分たちだけで全部追いかけるのは正直無理だと思っています。その道のプロと一緒に走る体制を作る方が、変化に対応できる。
手がかかるかどうかではなく、「専門家と一緒に時間の使い方を変える」という発想が重要だと思います。
編集後記
本記事の執筆者は、ご支援初期段階から伴走をさせていただいておりますが、ゼロからマーケティングを立ち上げ、短期的な数値追求ではなくコンテンツ資産の積み上げを選択し、逆境の中でCVR改善という次の手を打ち続けて来られました。
当社からの新たなチャレンジやご提案に対しても、常に前向きに取り組みをしていただいており、その結果、毎年着実に右肩成長が描けています。

「広告費は、資産にならない」——清水様のこの一言に、今回のインタビュー全体の哲学が凝縮されています。
その根底には、前職のキャリアであるブランドコンサルティング経験から培われた「ブランドは資産である」という確固とした哲学があると感じ、個人としても非常に感銘を受けました。
AI時代においても「探している人の意図」という本質に向き合い続ける清水様の姿勢は、変化の速い市場で持続的に成果を出し続けるための、一つの確かな指針を示しています。
今まさに、AIへの対応が求められる企業にとって非常に重要な「スタンス」であると強く感じます。
改めてこの度は、インタビューへのご協力をいただき、誠にありがとうございました。

【インタビュイー(写真左)】
株式会社プロディライト 経営企画室 室長 清水 達也 氏
事業内容:クラウドPBX「INNOVERA(イノベラ)」の提供。法人向けにクラウド電話環境を提供し、場所の制約解消・文字起こし・他クラウドサービス連携など業務効率化を支援。
サービスサイトURL:https://innovera.jp/
コーポレートサイトURL:https://prodelight.co.jp/
【インタビュワー(写真右)】
株式会社グラッドキューブ プロモーション統括本部 デジタルマーケティング事業部 ゼネラルマネージャー 佐谷 建斗
本事例についてのお問い合わせ・ご相談について
グラッドキューブでは、インターネット広告運用・SEO・LLMO対策・AIアバター接客(SiTest Engage)など、デジタルマーケティングのご支援を幅広くご提供しております。
本事例で実施した施策についての詳細・ご相談については、以下のフォームまでお気軽にお問い合わせください。



