コネクテッドTV(CTV)の普及により、リビングルームの「大画面」を巡るシェア争いは新たな局面を迎えています。これまでは「地上波かYouTubeか」という二元論で語られがちでしたが、現在、グローバル市場および日本市場で起きているのは、「プレミアム動画プラットフォーム(PVP ※)」と「YouTube」による、視聴者の「アテンション(注意)」を奪い合う高度な戦いです。
なお本記事は、Marketing Dive に掲載されたスポンサードレポートをベースに、編集部が日本市場向けの独自解釈を加えて構成しています。スポンサードコンテンツであることを踏まえたうえで、参考情報としてご活用ください。
主に高品質なオリジナルコンテンツ、独占配信、広告なしの視聴環境、高画質(4K HDRなど)を提供する動画配信サービス(VOD)を指します。2026年時点では、定額制(SVOD)が主流であり、オリジナル作品のクオリティや配信ジャンルで差別化を図っています。
主要なプレミアム動画プラットフォーム まとめ
- Netflix (ネットフリックス):オリジナル作品のクオリティと量が最大の強み。話題のドラマ・映画・ドキュメンタリーが充実している。個別課金がない定額見放題。
- U-NEXT (ユーネクスト):39万本以上の見放題作品数を誇る国内トップクラスのプラットフォーム。毎月ポイントが付与され、新作映画のレンタルや漫画・雑誌の購入に利用できる。
- Disney+ (ディズニープラス):ディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズ、ナショナルジオグラフィック作品を独占配信。ファミリー向けやコアファン向け作品が充実している。
- Amazon Prime Video (アマゾン プライム・ビデオ):Amazonプライム会員特典として提供され、低価格で幅広い動画が見放題。オリジナル作品も多数。NHKオンデマンド等の追加チャンネルも同じ画面で管理可能。
- Leminoプレミアム (レミノ):韓流・アジア作品が豊富で、独占配信や先行配信が充実している。SNSのような機能がある。
- DMM TV:月額550円(税込)で21万作品以上という高いコスパが特徴。特にアニメや特撮、オリジナルバラエティに強い。
- Hulu (フールー):日本テレビ系のドラマやスピンオフ作品の独占配信が強い。映画、海外ドラマ、アニメなどもバランスよく配信。
- Apple TV+:Appleオリジナル作品のみを配信。クオリティの高い映像作品が特徴。
1. 背景:CTV(コネクテッドTV)へのシフトが加速している
ここ数年でどの家庭のテレビリモコンにも、YouTubeやNetflixなどのボタンが並ぶようになり、今やYouTubeや他のVODサービスを家庭のテレビで視聴することは日常の風景となりました。

日本国内においても、TVerの月間動画再生数が6.3億回を超え(2026年1月末時点)、YouTubeのテレビ画面視聴も急増するなど、CTV(コネクテッドテレビ 以下「CTV」)はもはや補助的なチャネルではなく、マーケティング戦略の「主戦場」となっています。
企業の広告予算がCTVへシフトする中でマーケターが直面している本質的な課題は、「単なるインプレッション(表示)」と「視聴者のエンゲージメント(没入)」をどう区別し、評価するかという点です。
CTV広告の効果は「どのデバイスで流れたか」以上に、「どのようなコンテンツの文脈で流れたか」に強く依存するという見方が広がっています。
2. コビューイング(Co-Viewing):「誰と見るか」が広告効果を決める時代へ
CTVの台頭が明らかにした本質的な変化は、「どこに広告を出すか」以上に「どんな視聴体験の中に広告が入るか」が効果を左右するという事実です。
ここで重要な概念が「コビューイング(Co-Viewing)」です。

「コビューイング」とは、2人以上の視聴者が同じ画面を同時に5分以上視聴している状態を指します。プレミアム動画とYouTubeは、この点で根本的に異なる性質を持っています。
VABとTVision が連携し、21プラットフォーム(AVOD/SVOD、YouTubeなど)を対象に実施した1年間のアイトラッキング調査によると、YouTubeはコビューイング率で21プラットフォーム中18位でした。
これはYouTubeが本質的に「個人最適化されたメディア」であることの裏付けです。アルゴリズムが一人ひとりの興味に合わせて動画を届けるからこそ、家族や友人と一緒に見るという行動が生まれにくい。
一方、プレミアム動画プラットフォーム(Netflix・Disney+・TVerなど)は、ドラマや映画・スポーツという「みんなで楽しむコンテンツ」を軸に設計されており、地上波テレビに近い「複数人で視聴するメディア」としての特性を持ちます。
同調査では、コビューイング中に「広告について一緒に見ている人と話す可能性がある」と答えた消費者は43%にのぼり、セッション持続時間もYouTubeを上回る結果となりました。
3. プレミアム動画プラットフォーム(VOD) vs. YouTube:特性・メリット・デメリットの整理
それぞれの特性を整理すると、以下のような対比が見えてきます。

| VOD/SVOD サービス | YouTube | |
| 視聴スタイル | 家族・友人と複数人で視聴 | 個人で視聴 |
| コビューイング | 高い(業界上位) | 低い(21中18位) |
| 視聴集中度 | 高い・没入型 | 低め・「ながら見」傾向 |
| セッション長 | 長時間(84分以上が多数) | 短時間(75%が20分以内) |
| CPM水準 | 高価 | 低コスト |
| リーチ規模 | 相対的に限定的 | 圧倒的な広さ |
| ブランドセーフティ | コントロールしやすい | 課題が残る |
| 広告の二次効果 | 「一緒に見た人との会話」が生まれやすい | 個人完結になりやすい |
「この商品良さそうだね」「試してみようか」など、リビングルームで自然に起きるこうした会話は、デジタル広告のどの指標にも表れません。
しかしこのような会話が「ブランドへの信頼と購買意向を育てられる」という主張は概ね正しいのではないかと思います。
この「広告の外側で起きる効果」こそが、プレミアム動画プラットフォーム独自の良さであると思います。
4. マーケターはこの特性をどう施策に活かすべきか
この対比を踏まえると、CTVにおける正しい戦略は「VOD/SVOD か YouTubeか」の二択ではなく、目的によって使い分ける「役割分担」です。
プレミアム動画プラットフォーム(VOD/SVOD)が向いているのは、新商品発売・ブランドリフト・高関与商材(住宅・保険・高額家電など)のように、「一度でしっかり記憶に残したい」「購買に家族の合意が必要な商材」への訴求です。複数人の目と耳に届き、会話を生み出す環境は、こうしたカテゴリと親和性が高いのではないかと思います。
一方で、YouTubeが向いているのは、認知の裾野を広げるリーチ最大化や、すでにブランドを知っているユーザーへのリマインド・リターゲティングです。低コストで大量露出できる強みを、「知っている人に何度も思い出させる」フェーズで活用する。
たとえば、
- 新商品発売の初月はTVerやABEMAのプレミアム枠で「家族の会話に入り込む認知」を形成
- 翌月以降はYouTubeで広範なリマインドを行う
というような二段構えが、CTVにおける予算配分の一つの有効な設計です。

大画面でも小画面でも「伝わる動画」を。動画クリエイティブ制作の課題を解決するために
YouTubeやCTVの「大画面専用クリエイティブ」の必要性はわかっていても、「まずは予算的に縦型SNS向け」「テストマーケティングで少額予算で進めたい」というニーズが多いのではないかと思います。
グラッドキューブが提供するDraVis(ドラビス)は、YouTube ショート・Instagram リール・TikTok・LINE VOOMなど各プラットフォームに対応した縦型ショートドラマの制作サービスです。ブランドの世界観を「物語」として伝える動画を、企業のマーケティング・ブランディング目的に特化して制作します。
また、すでに制作した動画をWebサイト上で最大限に活用するなら SiTest Engageのピクチャインピクチャ・動画ポップアップ機能と組み合わせることで、CTVで認知したユーザーがサイトを訪問した際の「接客体験」も動画で完結させることができます。
編集後記
日本のテレビメーカー各社(ソニー・シャープ 等)のリモコンに設置された「ダイレクトボタン」の配置を見ても、YouTube・Netflix・TVer・U-NEXT が並び、視聴者の選択肢はフラットになっています。
コネクテッドTVの市場規模は右肩で成長しており、今後のAI時代における「ブランド認知」のアテンション争奪戦もこの市場を後押しするはずです。
この視聴行動の変化を捉え、プラットフォームごとの「視聴態度(マインドセット)」の違いを理解したうえで、ブランドの認知戦略を実施することが、次世代のデジタルマーケティング責任者に求められそうです。
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記事執筆:株式会社グラッドキューブ 佐谷 建斗


