【この記事のポイント】
- 2026年5月20日(米国時間)に基調講演を行ったGML 2026は、広告を「人が作り、人が運用する」ものから「Geminiが作り、エージェントが最適化し、AIが計測する」ものへと転換する宣言だった。
- Conversational Discovery ads・Highlighted Answers・AI-powered Shopping ads・Business Agent for Leadsという4つの新フォーマットが、AI Mode回答の「中に溶け込む」広告時代を告げる。
- 「Ask Advisor」は、Google Ads・Analytics・Merchant Center・Google Marketing Platformを横断するGemini製の統合エージェント。複数の管理画面を行き来して行っていた分析を「常時稼働の戦略パートナー」として一元化する。
- UCP(Universal Commerce Protocol)・AP2(Agent Payments Protocol)・Universal Cartという3つの規格/機能が、AIエージェントによる購買代行の「足回り」を整備。「広告を見てクリック・購入」というフローが、「エージェントが商品を発見し、価格を監視し、自律購入する」フローへと移行しつつある。
2026年5月20日(米国時間)、Googleの年次広告イベント「Google Marketing Live(GML)2026」が開催された。基調講演に登壇したVidhya Srinivasan(VP of Google Ads and Commerce)が示したのは、広告の「作業」がAIに移っても、戦略の重要性はむしろ増すという未来像だ。テーマを一言で言えば 、広告は「人が作り、人が運用する」ものから「Gemini製のエージェントが作り、最適化し、計測する」ものへ移る、という宣言である。
検索広告の運用に多くの工数を割いてきた日本企業にとって、これは「便利なツールがまた一つ増えた」という話ではない。広告運用という仕事の重心が、作業から「判断基準の設計」へと移る転換点だ。

1. AI Modeの「会話の中」に広告が溶け込む:4つの新フォーマット
GMLの目玉は、Geminiを核にした新しい広告フォーマット群だ。中でも象徴的なのが、対話型検索「AI Mode」の回答そのものに表示される広告である。
①Conversational Discovery ads(会話形ディスカバリー広告)
ユーザーの具体的な問い(例:「自宅をスパのような香りにしたい」)に対し、Geminiが関連する商品特徴を盛り込んだ広告クリエイティブをその場で生成する。
②Highlighted Answers(回答のハイライト)
AI Modeがリスト形式で回答する際(例:語学アプリの候補一覧)、質の高い広告が「おすすめ」として表示対象になる。
③AI-powered Shopping ads(AIショッピング広告)
「エスプレッソマシン」のようなカテゴリー検索に対し、Geminiが関連商品を提示し、商品ごとに独自の説明文を自動生成する。
④Business Agent for Leads(リード獲得型ビジネスエージェント)
従来の静的なリード獲得フォームを、広告内に埋め込まれたGemini製チャットエージェントが置き換える。エージェントは広告主サイトの情報に基づき、見込み客の質問にその場で回答する。
以上の4つがAI Mode 広告における4つのアップデートとなる。

検索結果の「枠」に広告を出す時代から、AIの「回答」に広告が溶け込む時代へ。クリエイティブも問い合わせ対応も、AIが動的に生成する世界が立ち上がりつつある。
2. 運用者の隣に立つ統合エージェント「Ask Advisor」
GMLのもう一つの重要発表が「Ask Advisor」だ。Google Ads・Google Analytics・Merchant Center・Google Marketing Platformを横断するGemini製の統合エージェントで、複数の管理画面を行き来して行っていた分析を「常時稼働の戦略パートナー」として一元化する。

Google Analytics 360も再定義された。Meridian(Googleのオープンソース・マーケティングミックスモデリングツール)との統合と「Future Long-Term Conversions(将来の長期コンバージョン予測)」機能を加え、「現代の消費者ジャーニーをより深く理解するための計測コマンドセンター」へと進化している。
Direct Offersも進化した。2026年1月にChewy・Gap・L’Oréalと開始したこのパイロットは、Geminiが検索クエリごとに最適な割引を構成する機能・UCP対応事業者向けのネイティブ決済・Booking・Expediaと連携した旅行領域への拡張を加えた。
3. 「代理購買」を支える決済プロトコル:UCP・AP2・Universal Cart
GMLの発表で見落としてはならないのが、AIエージェントが「購買を代行する」ための足回りの整備だ。
Universal Cart
検索・Gemini・YouTube・Gmailなど複数の接点で見つけた商品をひとつの永続的なカートにまとめる。
バックグラウンドで値下げや在庫復活を監視し、価格推移も提示する
UCP(Universal Commerce Protocol)
商品発見・在庫確認・決済・購入後追跡までを、エージェント同士が通信するためのオープンソース標準規格。
決済はカナダ・豪州へ拡大し、英国も予定。ホテル予約や地域フードデリバリーなど新領域にも拡大中
AP2(Agent Payments Protocol)
AIエージェントが事前に設定された上限の範囲で自律的に支払う仕組み。
取引ごとに暗号署名された「Mandate(マンデート)」が改ざん不能な監査証跡を残す。2026年4月公開のv0.2.0では、限定チケットの発売と同時にエージェントが自律購入する「Human Not Present(人が立ち会わない)」決済も導入
GoogleはこれらをGoogleのみのプロプライエタリな規格ではなく「オープン規格」として推進しており、他の事業者・プラットフォームも採用できる形で整備している。広告の生成から決済までを一気通貫でエージェントに委ねる「エージェンティック・コマース」の全体像を、規格レベルで提示し始めたことが今回の最大の意義となる。

「エージェンティック・コマース」の概要については、以下の記事を参照。
4. 日本企業のマーケ責任者が今すぐ考えるべき3つのこと
この潮流は、日本市場にも1〜2年で本格的に波及する。経営・マーケ責任者が今から準備すべきことを3点に絞る。
① 「エージェントに渡す判断基準」を言語化する

Ask Advisorのような統合エージェントに運用を委ねるほど、人間の価値は「許容CPA・KPI定義・ブランド表現ルール」を明確にすることへ移る。これは従来の運用マニュアルとは別物の、機械可読な「判断の設計図」といえる。
「何を目標に」「何を禁止として」「何を優先して」運用するのか。この設計を言語化できている企業が、エージェント時代の先行者になる。
② 商品データを「AIに読まれる」形に整える

AI-powered Shopping adsやUniversal Cartは、構造化された商品情報を前提とする。
フィードの精度・網羅性・更新頻度が、そのまま「AIに選ばれるか」を左右する。Google Merchant Centerのフィード品質監査を今期の優先タスクに組み込むことを推奨する。
③ 「決済まで完結する」前提でリテールメディア戦略を見直す

UCP/AP2が普及すれば、購入はGoogleやAIの環境内で完結しうる。自社サイトへの送客を前提としたKPIだけでなく、AI経由の購買にどう関与するかを設計に組み込む必要がある。「Google上で完結する購買に自社がどう参加するか」という問いは、今期の戦略会議に上げるべき議題だ。
AI広告時代の総合戦略支援
GML 2026が示した新しい広告フォーマット・Ask Advisor・エージェンティック・コマースへの対応は、インターネット広告運用全体の戦略再設計を必要とします。グラッドキューブのインターネット広告運用支援は、Googleのエコシステムを横断した広告戦略の設計から実行まで支援します。またAI上での自社ブランド認識の可視化にはLLMOAをご活用ください。
👉 インターネット広告運用支援:https://www.glad-cube.com/
👉 LLMOA(エルモア):https://www.glad-cube.com/service/llmoa/
Google Marketing Live 2026 まとめ:「運用」ではなく「設計」で差がつく時代となる

GML 2026が示したのは、広告の作業がAIに移っても「戦略の重要性はむしろ増す」という未来だ。クリエイティブも入札も計測も、そして決済までもがエージェントに委ねられるとき、企業の競争力を分けるのは「AIに何を、どんな基準で任せるか」を設計する力になる。
広告運用者は消えるのではなく、「AIエージェント群を束ねる戦略オーケストレーター」へと役割を変える。その準備を始めるべきタイミングは、まさに今である。
【参照・引用出典】
Google Marketing Live 2026: News and announcements(Google公式 / Vidhya Srinivasan):https://blog.google/products/ads-commerce/google-marketing-live-2026-collection/
A new generation of ads for the AI era of Search(Google公式):https://blog.google/products/ads-commerce/google-marketing-live-search-ads
Meet Ask Advisor, your new AI-powered collaborator(Google公式):https://blog.google/products/ads-commerce/ask-advisor
Google helps retailers thrive with new UCP and AI tools(Google公式):https://blog.google/products-and-platforms/products/shopping/shopping-updates-google-marketing-live
Google Marketing Live 2026: Everything you need to know(Search Engine Land):https://searchengineland.com/google-marketing-live-2026-everything-you-need-to-know-478167
Google launches Universal Cart and updates AP2(The Next Web):https://thenextweb.com/news/google-universal-cart-agent-payments-shopping-io-2026


