AI 検索の計測は、1つのAI プラットフォームでは機能しない|引用91%が示す「計測ギャップ」の実態

AI 検索の計測は、1つのAI プラットフォームでは機能しない|引用91%が示す「計測ギャップ」の実態

【記事の要約(ここだけでもポイントは掴めます)】

2026年上半期に起きたのは「AI の影響が、それを計測する私たちの能力を上回るスピードで拡大した」という事実です。GA4・サーチコンソール・SEO ツールの数字だけでは、AI 検索経由の実態のごく一部しか見えていません。

  • 1つの AI プラットフォームの計測がほぼ無意味に: AI 検索での引用の91%は ChatGPT・Perplexity・AI Overviews のうちいずれか1つにしか出現しない
  • AI プラットフォームの勢力図が1年で激変: ChatGPT のシェアは78%から56%に急落、Gemini は15%から30%に急伸(2025年7月→2026年7月)
  • 計測できていない領域が拡大: Google サーチコンソールのデータは、現在のAI検索環境の75%を補足できていない

自社の計測が「AI 検索の何%を見ているか」を確認することが、2026年下半期に向けた最初の一手です。


1. なぜ今、AI 検索の「計測方法」を見直す必要があるのか

「AI の影響が大きくなっている」という認識は、多くのマーケターが持っています。しかし、2026年上半期に起きたことは、それより一段深刻です。

AI の影響が、それを計測する私たちの能力を上回るスピードで拡大したのです。

この視点を言語化したのが、グロース戦略家のケビン・インディグ(Kevin Indig)です。

インディグが公開した「AI halftime report: H1 (AI ハーフタイムレポート 2026 上半期版)」を詳解した Search Engine Journal のグレッグ・ジャーボー(Greg Jarboe)は2026年8月8日、上半期の本質をこう要約しました。

「SaaS の株価暴落も、AI による人員削減も、パブリッシャーの訴訟合戦も、すべて同じ根本原因に帰着する。私たちの計測スコアボードは従来型の検索のために作られたものであり、AI 検索のように非線形で確率的な動きを表示するよう設計されていない」
― グレッグ・ジャーボー(Greg Jarboe)、Search Engine Journal(出典:2026年8月8日)

GA4 の数字、サーチコンソールのクリック数、SEO ツールの順位。これらは依然として重要なデータですが、AI 検索経由の影響を捉えるには設計から異なる計測の発想が必要となっています。


次章でさらに詳しく解説していきます。


2. 「1つの AI で測る」がもう機能しない理由|引用の91%は「1つの AI プラットフォーム」限定

インディグのレポートが示した最も衝撃的なデータは「AI 引用の91%は1つの AI プラットフォーム限定である」ということです。

つまり、ChatGPT・Perplexity・AI Overviews のうち、いずれか1つにしか引用されない URL が全体の91%を占めていたという事実でした。さらに Google サーチコンソールのデータは、現在の AI 検索環境の75%をカバーできていないとされています。

「Google の AI Overviews で1位に表示されている」という事実は、「ChatGPT で引用されているかどうか」とほぼ無関係です。従来の SEO で機能してきた「1つのAI プラットフォームで上位表示されれば他にも波及する」という前提は、AI 検索では崩れています。

インディグが提唱するのは、プロンプト追跡を「SEO のランク追跡」ではなく「世論調査・フォーカスグループ調査」のように行う発想です。複数のプロンプトを複数のAI プラットフォームにかけ、ブランドがどのパネルでどう登場するかをサンプリングします。


3. AI プラットフォームの勢力図は1年で激変している|モデル選択がビジネスリスクになった

AI エージェント市場のシェアは、2025年7月から2026年7月の1年間で劇的に変化しました。

ChatGPT は78%から56%に急落、Gemini は15%から30%に急伸、Claude は2%から10%に成長しています。

「どの AI プラットフォームを中心に施策を打つか」という判断は、ビジネスリスクの問題に直結します。最も多くのユーザーを持つプラットフォームに集中すれば、そのシェアが変動したとき施策が一気に陳腐化します。「ChatGPT で出ているから大丈夫」という認識は、1年前の感覚のまま止まっている可能性があります。

単一の AI プラットフォームへの依存を避け、ChatGPT・Gemini・AI Overviews の少なくとも3プラットフォームを計測対象に含めることが、この変動に対する最初の備えになります。


4. 「賢い AI」を使うことより「AI に任せられる」ことが重要になる

インディグが示した2026年下半期の展望は、上半期の振り返り以上に重要です。「インテリジェンス(intelligence)とエージェンシー(agency)の分断」が本格化するという予測です。

インテリジェンスとエージェンシーとは: インテリジェンスは AI モデル自体の「頭の良さ」(回答の精度・推論力)を指します。エージェンシーは AI が誰かの代わりに行動する「権限」(購買・決済・データへのアクセスなど)を指します。この2つは別の軸で進化しているというのが、インディグの指摘の核心です。

例えるなら、どれだけ優秀な部下であっても、決裁権や顧客データへのアクセス権を与えられていなければ、実際の契約や購買の代行はできません。AI モデルの「頭の良さ」(インテリジェンス)はオープンウェイトモデルの競争によってコモディティ化し、安くなり続けています。

一方で「AI に代行させる権限」(エージェンシー)は、プラットフォームや規制当局によって締め付けられる方向に向かっています。実際に、AI 検索の誤情報責任や著作権侵害をめぐる訴訟・規制強化の動きが、欧米で相次いで報じられています。

2026年下半期の勝者は「最も賢いモデルを使うブランド」ではなく、「AI エージェントが代理で行動できる状態に整備されたブランド」です。

商品データ・料金体系・申し込みフロー・チェックアウトなどの仕組みが、「AI エージェントからのアクセスに対応できているか」を今から確認することが、次の差別化要因になります。


5. 日本のマーケターが今すぐ確認すべき3つのこと

① 複数の AI プラットフォームをまたいで、自社の言及状況を計測する

ChatGPT・Gemini・Perplexity・AI Overviews など、少なくとも3プラットフォームを横断して、自社ブランドの言及頻度・推薦文脈・センチメント(好意的か中立か)を記録します。

引用の91%が1つの AI プラットフォーム限定という事実を踏まえると、1つのプラットフォームだけの計測は、AI 検索全体の実態のごく一部を計測しているに過ぎません。「ChatGPT での引用数が増えました」という報告は、他のAI プラットフォームでの状況を何も語っていないためです。

② 外部メディアでの言及・引用構造を把握する

AI が自社ブランドをどのメディア経由で認識しているかを確認します。自社サイトの改善だけでは、AI が参照する情報源全体には届きません。

インディグが示したデータによれば、消費者の多くは AI のショートリストのトップ結果を選びますが、その中に自分がすでに信頼するブランドがあれば、順位に関係なくそちらを選ぶ傾向があります。GEO 施策は「AI に引用されること」だけでなく、外部メディア掲載を通じた「信頼の構築」と一体で考える必要があるためです。

③ 競合との比較で、自社の相対的な位置を把握する

自社単体の言及率だけでなく、競合がどのプラットフォーム・どのカテゴリで急伸しているかを比較します。

単一プラットフォームの計測だけでは、競合が自社の知らないところでシェアを伸ばしている変化に気づけません。「言及数」だけでなく「言及頻度×推薦文脈×センチメント」を競合と横並びで見る視点が、代理店・自社レポーティングの次の標準になっていくためです。


LLMOA(エルモア) で、この3つを1つのプラットフォームに統合する

上記の3つを個別のツールで対応しようとすると、運用が分散し継続できません。グラッドキューブの LLMOA(エルモア)は、ChatGPT・Gemini・Perplexity・AI Overviews にまたがる複数 LLM の計測、外部メディアでの言及・引用構造の分析、競合との比較を1つのダッシュボードで提供します。

さらに、計測して終わらせないための仕組みとして、データエクスポート機能で計測結果を生成 AI に読み込ませ、可視性の把握だけでなく改善施策の提案・目標 KPI の設定まで自動でレポート化できます。「どのプラットフォームで何が弱いか」を特定することから、2026年下半期の AI 検索戦略は始まります。


まとめ

ケビン・インディグの AI ハーフタイムレポートが2026年上半期の総括として示したのは、「AI の影響が計測能力を追い越した」という一文に集約される現実です。

  • AI 検索での引用の91%は1つのAI プラットフォーム限定。1つのプラットフォームの順位追跡はほぼ盲点を生む。
  • ChatGPT のシェアは78%→56%に低下、Gemini は15%→30%に急伸。モデル選択がビジネスリスクになった。
  • Google サーチコンソールは現在の AI 検索環境の75%を補足できていない
  • 2026年下半期はインテリジェンス(モデルの能力)とエージェンシー(代行権限)が分断。勝つのは AI に代行してもらえるよう整備したブランド。

計測のダッシュボードを更新しないまま進めば、現実と戦略の間に広がるギャップは2026年下半期に向けてさらに拡大します。今期の残り半分で何を計測し直すかを決めることが、来期のマーケティング競争力を左右します。


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よくある質問(FAQ)

Q. 「引用の91%は1つの AI プラットフォーム限定」とは、具体的にどういうことですか?
A. ChatGPT・Perplexity・AI Overviews のいずれかに引用された URL のうち、91% は3つのうち1つのプラットフォームにしか引用されていないという調査結果です。つまり、ある URL が Google の AI Overviews で引用されていても、ChatGPT では全く引用されていない可能性が高いということです。1つのAI プラットフォームだけを計測していると、実態の一部しか把握できません。
Q. インテリジェンスとエージェンシーの分断とは何ですか?
A. インテリジェンスは AI モデル自体の回答精度・推論力を指し、オープンウェイトモデルの競争でコモディティ化が進んでいます。エージェンシーは AI が購買・決済・データアクセスなどを代行する権限を指し、プラットフォームや規制当局による締め付けが強まっています。2026年下半期は、モデルの賢さより「AI に代行させる権限を整備しているか」が競争優位を左右するという予測です。
Q. AI 検索の計測を複数プラットフォームに広げるには、何から始めればよいですか?
A. まず ChatGPT・Gemini・Perplexity・AI Overviews のうち少なくとも3プラットフォームを対象に、自社の主力カテゴリに関連する10〜20のプロンプトをリストアップし、週次で言及状況を確認するルーティンから始めることが有効です。LLMOA のような複数 LLM を横断して計測できるプラットフォームを使うと、この運用を継続しやすくなります。

参照・引用出典

  1. Search Engine Journal「AI’s Impact Is Outrunning Measurement: The Trust And Attribution Gap Facing Brands」(Greg Jarboe、2026年8月8日): https://www.searchenginejournal.com/ais-impact-is-outrunning-measurement-the-trust-and-attribution-gap-facing-brands/584141/
    ※著者:Greg Jarboe(SEJ VIP Contributor)
    ※主要データ出典:Kevin Indig「AI Halftime Report, 2026年上半期版」 引用の91%が単一 AI プラットフォーム限定、ChatGPT シェア78%→56%、Gemini シェア15%→30%、Claude 2%→10% 消費者の約75%が AI ショートリストのトップ選択、信頼ブランドがあれば順位より優先 Google サーチコンソールのデータが現環境の75%を補足不能 「インテリジェンスとエージェンシーの分断」H2 2026予測 より
  2. Kevin Indig「AI halftime report: H1 2026」https://searchengineland.com/ai-halftime-report-h1-2026-483912
    ※2025年上半期レポートでの2つの予測(Google AI Mode 継続展開、AI リストラは PR ナラティブ)が的中 欧米での AI 検索誤情報責任・著作権侵害をめぐる訴訟・規制強化の動きが背景情報として言及