【この記事のポイント】
- HubSpot は2025年「AEO(回答エンジン最適化)」への本格投資によりChatGPT・Perplexity 等でのCRM分野No.1の地位を確立した(HubSpot 自社調べ)。
- オーガニック検索トラフィックが前年比27%減少する一方でAI経由の流入は3倍に増加、かつAI経由訪問者のCVRは通常検索の4.4倍というデータが示されており、AEOへの投資対効果は明確になりつつある。
- 日本企業が今すぐ着手すべき「AI可視性の現状把握」「自社サイトのAI可読性向上」「外部での言及獲得」の3つのアクションについて詳しく解説する。
検索エンジンのパラダイムシフトが、私たちの想像を超えるスピードで進行しています。かつてSEO(検索エンジン最適化)がデジタルの覇権を握ったように、今、新たな戦場として「AEO(Answer Engine Optimization:回答エンジン最適化)」が浮上しています。
今回、世界をリードするCRMプラットフォームである HubSpot が、どのようにして ChatGPT や Perplexity といった「AI検索」において「CRM分野No.1」の地位を確立したのか。その戦略の全貌を紐解き、日本企業のマーケティング責任者が今すぐ着手すべき戦略的アクションを解説します。
1. AEOとは何か:SEOとの違いを理解する
AEO(Answer Engine Optimization:回答エンジン最適化)とは、ChatGPT・Gemini・Perplexity などの生成AIが回答を生成する際に、自社ブランド・製品・情報が正確に引用・推薦されるよう最適化する施策の総称です。
SEO と AEO の根本的な違い
- SEO:検索結果ページで「クリックしてもらう」ための最適化
- AEO:AIの回答の中に「名前を挙げてもらう」ための最適化

従来の SEO が「リンクをクリックさせること」を目的としていたのに対し、AEO は「AIがユーザーへ回答する際に自社を推薦させること」が目的です。ユーザーはAIの回答だけで意思決定を済ませることも多く、HubSpot の顧客データでは、AI経由の訪問者はオーガニック検索訪問者の4.4倍のCVRを示しているとのことです。
2. なぜ今、AI検索(AEO)が重要なのか
HubSpot の報告によると、同社顧客のオーガニック検索トラフィックは前年比27%減少した一方、AI経由の流入は3倍に増加しているという数字(※1)が、マーケティングの主戦場の移動を端的に示しています。

HubSpot が直面した課題は、「従来のSEOで1位を獲得していても、AIが『おすすめのCRMは何ですか?』と聞かれた際に、自社を推薦してくれるとは限らない」という危機感でした。
これを言い換えれば、「AIの推薦リストに入っていなければ、ユーザーの比較検討の土俵にすら上がれない」という新しい競争の現実です。
AEOにおける本質的な変化
情報の要約と統合 AIは複数のソースを読み込み、ユーザーの意図に合わせて回答を「合成」します。単一のページが評価されるのではなく、ネット上の「情報の総和」としての評価が問われます。
エンティティ(実体)の理解
AIはキーワードではなく、ブランド・製品・機能といった「エンティティ」の関係性を理解しています。「CRM=HubSpot」という強力な関連付けがAIの学習データ内でなされているかが勝負を分けます。
信頼性(E-E-A-T)の重要性
従来のSEO以上に、執筆者の権威性・第三者レビュー・学術的な引用などがAIの推薦アルゴリズムに多大な影響を与えます。
3. HubSpot が実践した「3本柱」のAEO戦略
HubSpot は分析の結果、成功するAEO戦略は「①自社サイトのAEO対応コンテンツ」「②回答エンジンが学習・参照する主要ソースでの外部プレゼンス」の2つの基盤に依存することを確認し、それを3本柱の戦略に落とし込みました。

第1の柱:オンサイトコンテンツ最適化
HubSpot はAI可視性スコアが最初から高かった一方、引用スコアが低かったことが判明ししました。つまりAIは自社を認識していたが、自社サイトのページを情報源として引用していなかったのです。そこでよりAIが生成する回答と合致する超具体的なコンテンツの充実を図りました。
具体的には、コンテンツの冒頭に「〇〇とは、〜〜のことである」という、AIが引用しやすい簡潔な定義文を配置し、Schema.org(構造化データ)を徹底実装することで、AIが情報を正確に抽出できる環境を整備しました。

第2の柱:外部パートナーとのオフサイト増幅
AEOの基準評価から、サードパーティのコンテンツがHubSpotに関するAIの回答を形成していることが判明しました。そこでXFunnelのデータを活用し、すでに引用を獲得しているがHubSpot に言及していないパブリッシャーを特定。2025年末までに世界中の数百のウェブサイトと提携し、約1,000の新規ページを作成、数十万件の新規AI引用を獲得しました。
AIは自社サイトの情報だけでなく、外部サイトの情報を極めて重視します。日本市場であれば「ITreview」「BOXIL」などの比較サイト、業界特化のニュースメディアやSNSでの言及を戦略的に増やすことが有効です。
第3の柱:コミュニティエンゲージメント(Reddit)
XFunnel のデータにより Reddit が追跡対象のプロンプトで最も引用されるソースのひとつであることが判明しました。そこで Reddit の引用モニタリングを常時稼働させ、影響力の高いサブレディットや HubSpot への言及ギャップを毎週特定する体制を構築しました。
日本においても、Yahoo!知恵袋・はてなブックマーク・Qiita・note・各種業界コミュニティなど、AIが学習対象とする可能性のあるUGCプラットフォームでの存在感を高めることが重要になってきます。

4. AEOの成果を測る4つのKPI
HubSpotが定義したAEOの4つの主要KPI:

- 回答エンジン可視性(%):対象クエリに対して自社が登場する頻度
- 回答エンジンShare of Voice(%):同じクエリで競合と比較した際の露出率
- 回答エンジン引用数:AIが自社ページを情報源として引用した回数
- 引用シェア(%):同じクエリにおける競合との比較での引用率
従来の「検索順位」「PV数」「CTR」だけでは、AI検索時代のブランドの可視性を正確に測れません。これら4つの指標を新たなダッシュボードとして導入することが、AEO時代のマーケティング責任者に求められます。
5. 日本企業が今すぐ着手すべき「AEO対策」3つのアクション

アクション①:「AI可視性」の現状把握
まず、主要なAI(ChatGPT・Gemini・Perplexity等)に対し、自社のターゲットキーワードや「〇〇のおすすめは?」というプロンプトを投げ、自社がどのように言及されているかを把握してください。
月次で「AI推薦率」をレポート化し、競合他社と比較して、AIが自社を何番目に推薦しているか(または推薦されない理由)を分析することがスタートです。
アクション②:自社サイトの「AI可読性」を高める
技術面と内容面の両方を改善します。
- 技術面:Schema.org(構造化データ)を実装し、製品情報・FAQ・著者情報をAIが読み取りやすい形で提供する
- 内容面:コンテンツの冒頭に「〇〇とは、〜〜のことです」という簡潔な定義文を配置する。AIは曖昧な表現を嫌い、明確な定義を好んで引用します
アクション③:サードパーティでの評判を設計する
AIは自社サイトの情報だけでなく、外部サイトの情報を極めて重視します。日本市場では以下の取り組みが有効です。
- ITreview・BOXIL等のレビュープラットフォームでの評価獲得
- 業界メディアへのプレスリリース配信と専門記事の寄稿
- Yahoo!知恵袋・Qiita等のUGCプラットフォームでの専門的な情報発信
「AIに選ばれるブランド」の現状を把握し、戦略的に最適化するために
前項で解説したAEO施策を実践するにあたって、最大の課題は「今自社がAIにどう認識されているか」を体系的に把握する手段がないことです。ChatGPTで自社名を検索するだけでは、AIの認識の全貌は見えません。
グラッドキューブがサービス提供するLLMOA(エルモア)は、ChatGPT・Gemini・AI Overviews など主要な生成AIが自社ブランドをどう認識・引用しているかを可視化し、HubSpot が実践したのと同様の「AI可視性の測定→改善施策の立案→効果検証」のサイクルをワンストップで支援するサービスです。
「HubSpot のようなAEO事例を自社でも再現したい」「どこから始めればいいかわからない」という方は、まずLLMOAでの現状診断からご検討ください。

AI検索への対応は、単なる「検索手法の変化」ではなく、「ブランドの信頼がデジタル上でどう形成されるか」という本質的で根本的な変革です。
HubSpot が成功したのは、「コンテンツの量」ではなく「AIにとっての情報の質と構造、そして外部での評判の設計」に投資したからです。日本のマーケティングの現場においても、従来のセッション・PV至上主義から脱却し、AIという新しい「情報の門番」に選ばれるための戦略にリソースをシフトしましょう。
記事執筆:株式会社グラッドキューブ 佐谷 建斗
参照元:
※1 HubSpot’s 2026 Spotlight: What the Announcements Mean for Your BusinessCentralise
※2 How HubSpot became the #1 CRM in AI search [A case study]hubspot


