AIリファーラルの92%はChatGPTから|677万セッション分析が示す「AI検索の一強時代」と戦略的な意味

AIリファーラルの92%はChatGPTから|677万セッション分析が示す「AI検索の一強時代」と戦略的な意味

【記事の要約(ここだけでもポイントは掴めます)】

  • Previsible 社が2026年7月6日に公開した「2026 State of AI Discovery Report(第3版)」は、166サイト・677万件のLLM(対話型AI)経由セッションを19ヶ月にわたって追跡した大規模調査です。最大の結論は「追跡可能なLLMリファーラルトラフィック(LLMから自社サイトへの流入)の92.4%はChatGPTから来ており、なお拡大中」というものです。
  • ただし同調査が最も強調するのは、「Google検索内のAI Overviews・AI ModeはスタンドアロンのLLM全体を合算しても上回る規模である」という点です。つまりChatGPTへの対応は必須ですが、その前に「GoogleのAI検索に引用されること」が最優先です。
  • 最も実務的な発見は着地ページの分析です。ChatGPTが送客するトラフィックの28.8%が「サイト内検索結果ページ」に着地しています。LLMは「どのサイトが答えを持つか」は判断できますが「そのサイトのどのページが最適か」は特定しきれません。「高意図で訪問してきたユーザーを貧弱なサイト内で逃していないか」この視点が多くの日本企業に欠けています。

1. 調査データの前提:「第3版」の継続調査が持つ意味

Previsible の 2026 State of AI Discovery Report は、2024年11月に始まった継続的な追跡調査の第3版です。第1版(2024年11月)、第2版(2025年12月)、そして今回(2026年7月)と19ヶ月にわたって同一の166サイト・同一の9業種以上を追い続けているため、一時的なスナップショットではなく「トレンドの方向性」を確認できるデータです。

また、著者は Previsible のCPO(最高製品責任者)兼 共同創業者のDavid Bell氏。同社はeBay・Yahoo・Searchmetrics 出身で生粋のSEOプロフェッショナルが創業した、エンタープライズ向けGEOエージェンシーです。

【この記事を読む前に押さえておきたい2つの前提】この記事のデータは、以下の2点を理解した上で読むと、より正確に活用できます。

①本文中の「リファーラル」とはGA4で計測した参照元データのこと
Previsible は166サイトのGA4(Googleアナリティクス4)にアクセスし、参照元(リファラル)がChatGPTやGeminiなど各LLMのドメインになっているセッションを集計しています。
つまり「ユーザーがLLMの回答内のリンクをクリックしてサイトに流入した件数」のデータです。LLMの回答を見てURLを自分でコピー&ペーストした場合はダイレクト流入として記録されるため、実際のLLM影響は本データより大きい可能性があります。

②「Gemini」はGeminiアプリのみ。Google AI Mode・AI Overviewsは含まない
この調査で「Gemini」として計測されているのは、gemini.google.com(Geminiアプリ)から直接流入したセッションのみです。Google検索内のAI Mode・AI OverviewsはGA4上では通常のGoogleオーガニック流入として記録されるため、リファラルとして識別・計測できません。だからこそレポートは「GoogleのAI機能はスタンドアロンLLM全体より大きい可能性があるが計測の仕組みが違うため対象外」と明示しています。この調査の「Gemini 3.2倍」という数字は、Geminiアプリの話であり、Google検索のAI体験全体の話ではない点にご注意ください。この後本文中に出てくる「AI検索対策の最優先事項はGoogle(AI Overviews・AI Mode)への対応」という前提も、ここから来ています。

2. AI検索の勢力図:「一強+α」の時代に入った

2025年12月時点でChatGPTのシェアは約84%でした。それが2026年5月時点で92.4%に拡大しています。「AI検索の戦国時代」はある程度終局に入り「ChatGPT 一強+α」の構造が確立されました。

プラットフォーム現在のシェア19ヶ月の成長率特徴・今後の見通し
ChatGPT92.4%12.8倍なお拡大中。前回(84%)からさらに独走。「優先しない=抽象概念への最適化」と断言
Gemini2番手(シェア少)3.2倍Google WorkspaceやAndroidへの統合でリファラル計測が実態より過小。Googleとの融合が進めば「商品データ連携」が主戦場になる
Claude3番手(急上昇)64倍2026年3月にPerplexityを逆転。技術系・専門職バイヤー・エンタープライズとの相関が強い。BtoB企業には「量は少ないが質が高い」トラフィック源
Perplexity急落ピーク比-61%2025年3月ピーク後に失速。長文コンテンツをピンポイントで選ぶ特性は残る
Copilot急落ピーク比-96%「次に来る」と業界が期待していたが、エンタープライズでの優位性はClaudeが代わりに実現しつつある

レポートの著者David Bell氏はChatGPTの独走をこう表現しています。

「ChatGPTを優先しないAI可視性の最適化は、抽象概念への最適化にすぎない。」——David Bell(Previsible CPO・2026 State of AI Discovery Report著者)

「11月の急落」が示す構造的なリスク

2025年11月、ChatGPTからの月間流入セッションが448,412件から213,345件へ、わずか1ヶ月で半減するという事象が起きました。原因はChatGPTが特定のモデルチューニングを実施し、WikipediaやRedditなどのUGC(ユーザー生成コンテンツ)プラットフォームを優先するようになったためとみられています。その後12月には442,609件に回復しています。

この事例が示す教訓は明確です。一つのプラットフォームの製品判断が、翌日にはAI経由の流入を半減させうる、ということです。ChatGPTへの依存度が高まるほど、この変動リスクも高まります。ChatGPTファーストで戦略を組みながら、GoogleのAI機能との複線化を並行して進めることが、リスクヘッジとして機能します。

3. マーケターが注目すべき点:「AIはドメインを信頼するが、ページは選べない」

本調査で最も日本のマーケターに直接関係する発見は、市場シェアの数字ではなく、着地ページの分析にあります。

ChatGPTが送客するトラフィックの28.8%が「サイト内検索結果ページ」に着地しています。全業種の平均でも、AI経由トラフィックの約25%がサイト内検索ページに着地するという数字は一貫しています。

LLMは検索拡張生成(RAG:情報を検索して組み合わせて回答する仕組み)の特性上、「どのサイト(ドメイン)が信頼できる答えを持つか」は判断できますが、「そのサイトの中のどのページが最適か」まで正確に特定することが苦手です。そのため「ブランド名+サイト内検索」という形でユーザーをサイトの「玄関」に送り届け、そこから先の案内はユーザー自身に任せます。

この挙動は一時的な仕様ではなく、RAGの仕組みに根ざした構造的なパターンだとレポートは指摘しています。

INSIGHT CUBE チェックポイント:AIがわざわざ選んで送ってきた高意欲のユーザーを、サイト内検索で迷子にしていないでしょうか。多くのサイトでサイト内検索は「ナビゲーション機能」として軽視されています。しかしAI経由流入の4人に1人がサイト内検索に着地するなら、それはもはや「獲得チャネルのLPと同等」に設計すべき場所です。

LLM経由から流入したユーザーのサイト内回遊を促し、適切なページにユーザーを促しましょう。当社の SiTest Engage では、「動画接客・AIアバター接客」によって、様々な業種でCVRを改善させた事例があります。ウェブサイト上でのユーザー体験を改善し、初回訪問を逃さないための対策が今後より大切になります。

4. 業種別データが示す「自社の立ち位置」の確認方法

AI経由流入の伸びは業種によって大きく異なります。「サイト全体の平均値」ではなく「自社の業種と着地ページタイプ」で考えることが、実務上の第一歩です。

業種AI流入成長率主な着地ページSo What(何が言えそうか)
EC37倍商品ページ43%購買意図が形成された状態でLPに着地。商品ページのAI可読性が直接CVRに影響
保険18.9倍比較・説明ページ浸透率1.51%は全業種最高。まだ余裕がある今こそ先行優位を取れる局面
教育5.4倍コースページ52%「どこでXを学べるか」という質問からダイレクトに着地。コース情報の構造化が鍵
SaaS9.9倍サイト内検索34.6%全業種で最もサイト内検索への着地が多い。検索UXの品質が獲得効率に直結する
医療唯一の減少Aboutページ42.1%情報はAIが答え、サイトは「発信元の信頼性確認」の場に変化。EEATが最重要
出版微増ニュースページ54%コンテンツを作りAIに引用されるが、流入はほぼ0(浸透率0.11%)。コンテンツ制作者の矛盾が最も鮮明

「出版業界のパラドックス」:コンテンツを作る人が流入を得られない

特に注目すべきは出版業界のデータです。出版社・メディアは記事・コラム・解説記事を大量に生産しており、それらがAIの回答に引用される一次情報の主要な供給源になっています。ところが、AI経由のサイト流入(浸透率)は0.11%と全業種で最低水準です。

「コンテンツを作ってAIに引用されているのに、そのAIからの流入はほぼ得られていない」これは「AIが優れたコンテンツを参照して回答を生成する→ユーザーはAIの回答で完結してクリックしない」という構造の問題です。この矛盾は出版業界に限らず、コンテンツへの投資が多い企業全般が直面しうる問題です。

5. 推奨される5つのアクションと日本企業への示唆

レポートが提示する「勝つための5つのコアアクション」を、日本企業のマーケ文脈もふまえて独自解説します。

① 引用に値するエビデンスを作る

「自社サイトに書いてあること」ではなく、「第三者が参照したくなる一次情報・調査データ・専門家の見解」を制作します。

AIが引用したくなる情報とは、他では読めない独自性があり、事実として断言できるものです。「〜と言われている」ではなく「自社調査によると〜%」という形で断言できる情報が当然ですが、強いです。

② 信頼できる第三者ソースで権威を構築する

自社サイトの情報だけを整備しても不十分です。AIがブランドを信頼する根拠は、外部の信頼できるサイト(業界メディア・業界団体・レビューサイト)での言及量と質です。

デジタルPRやコンテンツマーケティングを「AI時代の権威構築への投資」として再定義することが求められます。

③ AIがサイトを読める状態にする

構造化データ(Schema.org)の実装、robots.txtでの主要AIクローラーのブロック確認、ページ読み込み速度など、AIエージェントがサイトを正確にクロール・理解できる技術的な土台の整備です。

これはSEOの基本とほぼ重なりますが、「人間が読みやすいか」に加えて「AIが読みやすいか」という視点が追加されています。

④ 回答ジャーニーに最適化する

ユーザーが「質問→AI回答→サイト訪問」という流れで来る場合、そのユーザーはすでに一定の情報を得た状態でやって来ます。

従来の「認知から検討へ」という段階的な誘導設計ではなく、「すでに知っている人が次に必要なもの」を最初に提供する設計が有効です。

⑤ サイト全体ではなくビジネス影響で計測する

「AI経由の月間セッションが何件増えたか」ではなく、「AI経由のユーザーが何件問い合わせ・購買に至ったか」を計測します。

業種によって着地ページタイプが大きく異なる以上、「AI浸透率の平均値」より「自社の主要コンバージョンページへのAI経由流入」を追うことが実務的です。

6. AI検索は次の課題へ:どのAIが「買う顧客」を送るか

今回参照しているレポートはすでに現場の次なるテーマを予告しています。それは「LLMプラットフォーム別のコンバージョン率」です。

現時点では「ChatGPTが流入の92.4%を占める」という量の話に注目が集まっています。しかし次のフェーズで問われるのは「ChatGPT経由のユーザーが一番買うのか、それともClaudeやGemini経由のほうが質が高いのか」という質の話です。

プラットフォームの性格の差(ChatGPT・Geminiはドメイン信頼型でサイト内検索に送客、Claude・Perplexityは特定ページをピンポイントで選ぶコンテンツ選択型)から推測すると、流入ボリュームと事業貢献の構成比は必ずしも一致しない可能性があります。計測体制を整えた企業だけが、その問いに自社データで答えられます。

「今やっておくべき基盤整備をしているブランドが、AIが選ぶ存在になる。」——David Bell(Previsible CPO)

AIが自社ブランドをどう語っているか、プラットフォーム別に把握する

今後のAI検索への対策では、ChatGPT・Gemini・Claude・AI Overviewsなど複数のAIプラットフォームで自社ブランドがどう認識・引用されているかを継続的に計測することが、AI検索時代の競争力の大前提になります。

グラッドキューブのLLMOA(エルモア)は、主要なAIが自社ブランドをどう語っているかをプラットフォーム別に定点観測し、GEO施策の立案から実行・効果検証までをワンストップで支援します。


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【参照・引用出典】

2026 State of AI Discovery Report(Previsible / David Bell著, 2026年7月6日):https://previsible.com/seo-strategy/ai-traffic-report-july-2026/

プレスリリース(Business Wire, 2026年7月6日):https://www.businesswire.com/news/home/20260706755932/en/

ChatGPT commands 92% of AI referral traffic. Here’s what 6.77 million sessions reveal.(Search Engine Land / David Bell, 2026年7月8日):https://searchengineland.com/chatgpt-ai-referral-traffic-sessions-data-481630