「質問する言語」でAIが言及するブランドは変わる|日本語・韓国語・タイ語で比べた調査結果【LLMOA(エルモア)検証レポート】

「質問する言語」でAIが言及するブランドは変わる|日本語・韓国語・タイ語で比べた調査結果【LLMOA(エルモア)検証レポート】

【記事の要約(ここだけでもポイントは掴めます)】

AI に同じ内容の質問をしても、質問する言語によって、AI が回答で言及するブランドは変わります。海外の調査で示されたこの傾向を、とある日本発のアプリについて日本語・韓国語・タイ語で計測した LLMOA のデータで検証しました。

  • 海外調査では、言語によって推奨されるブランドが60ポイント差: 同じ航空会社が、ロシア語では72.5%、ペルシャ語では12.5%しか推奨されませんでした(SALT.agency 調べ)
  • 言及率は韓国語97.1%、タイ語80.9%: 同じ内容の質問でも、アプリ名が回答に出る割合(言及率)は韓国語で最も高く、タイ語で最も低い結果でした
  • AI モデルによっては差がさらに大きい: Google AI Overviews は日本語の回答の100%でアプリ名を出した一方、タイ語では63.3%でした
  • タイ語では競合に抜かれる: 日本語・韓国語では海外発の競合を上回っていたのに、タイ語では競合を下回りました
  • 引用元は言語ごとに別のサイト: 韓国語では NAVER ブログ、タイ語では Pantip、日本語では Yahoo!知恵袋が引用されていました

海外向けの顧客に対して AI でどう紹介されているかを知るには、日本語の計測結果をそのまま当てはめず、海外言語で計測することが最初の一歩です。

AI 検索の時代に SEO の何が変わったのかは「AI時代のSEOとは|「SEOは終わった」は誤解、変わったのは評価のルール」で整理しています。言及率・推奨率などの指標の定義と計測の手順は「AI引用率の計測方法|生成AIの言及率を自社で測る4ステップ」をご覧ください。

本記事は、2026年10月13日に Search Engine Journal に掲載された SALT.agency の調査と、株式会社グラッドキューブが提供する AIO・LLMO 対策プラットフォーム LLMOA(エルモア)で計測した、とある日本発のアプリ1サービスの回答データ(2026年5月24日〜6月22日計測、回答592回)に基づいています。1サービスのデータであり、すべての業種・ブランドに当てはまるものではありません。生成 AI の回答はアルゴリズムの変動によって短期間で変わるため、今後も同じ傾向が続くとは限りません。

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結論:同じ質問でも、言語によってAIが言及するブランドは変わる

海外調査:同じ航空会社が、ロシア語では72.5%、ペルシャ語では12.5%

英国の SEO エージェンシー SALT.agency の共同創業者 Reza Moaiandin 氏は、AI に同じ購買の質問を5つの言語(英語・アラビア語・ロシア語・中国語[簡体字]・ペルシャ語)でして、推奨されるブランドが変わるかを調べました。調査結果は2026年10月13日に Search Engine Journal に寄稿されています。

調べたのは、ホテル、航空券、ヘッドホン、ロボット掃除機、CRM、プロジェクト管理ソフトの6つの場面です。Claude(Web 検索なし)に各言語で40回ずつ質問し、ChatGPT と Gemini の結果も合わせて1,650回分の回答を集めました。

最も差が大きかったのは、ロンドンからテネリフェ(スペイン領カナリア諸島)への往復航空券の質問です。

航空会社英語アラビア語ロシア語中国語ペルシャ語
easyJet35.0%17.5%72.5%50.0%12.5%
British Airways12.5%45.0%0%10.0%52.5%
※SALT.agency 調べ。Claude が最終的に推奨した航空会社の割合。

同じモデル、同じ質問、同じ日の午後に集めた回答で、違うのは言語だけです。それでも easyJet はロシア語で72.5%、ペルシャ語で12.5%と、60ポイントの差がありました。

一方で、ロボット掃除機(Roborock が全体で91.5%)のように、どの言語でも同じブランドが選ばれるカテゴリもありました。同氏は、サンプルが小さく、1回の計測にすぎないため「示唆にとどまる」としています。また、日本語は調査の対象に含まれていません。

日本語・韓国語・タイ語で検証すると、言及率は韓国語97.1%、タイ語80.9%

では、日本語を含めるとどうなるのでしょうか。LLMOA では、とある日本発のアプリについて、同じ内容の質問を日本語・韓国語・タイ語の3言語で計測していました。

候補を挙げてもらう質問(推薦型)は、各言語2問ずつです。そのアプリが属するカテゴリで、どのアプリがおすすめかを尋ねる内容です。この2問を、それぞれの言語に訳したものを5つの AI モデルに毎日質問し、そのアプリの名前が回答に出たかどうかを調べました。

指標日本語韓国語タイ語
回答数125回136回131回
言及率(アプリ名が出た割合)91.2%97.1%80.9%

※LLMOA の計測データをもとに編集部が集計。推薦型の質問のみ。アプリ名は、回答の本文に各言語の表記(英字・カタカナ・ハングル・タイ文字)が含まれるかで判定しています。

同じ内容の質問でも、アプリ名が出る割合は韓国語で最も高く、タイ語では韓国語より16.2ポイント、日本語より10.3ポイント低い結果でした。日本発のアプリでも、日本語の回答で最も名前が出るとは限らないということです。


AIモデル別・競合別に見る言語差

言語による差の出方は、AIモデルによって違う

推薦型の質問について、AI モデルごとに言及率を比べました。

AI モデル日本語韓国語タイ語
Google AI Overviews100%96.7%63.3%
Google AI モード80.0%100%86.7%
ChatGPT86.7%93.3%73.3%
Gemini100%100%93.3%
Perplexity85.7%93.8%100%
※LLMOA の計測データをもとに編集部が集計。推薦型の質問のみ。Perplexity は回答数が各言語7〜16回と少ないため参考値です。

Google AI Overviews は、日本語では28回の回答すべて(100%)でアプリ名を出した一方、タイ語では63.3%にとどまりました。ChatGPT もタイ語だけが73.3%と低くなっています。一方、Gemini と Perplexity は、どの言語でも9割前後以上でアプリ名を出していました。言語による差の大きさは、AI モデルによって違うということです。

タイ語では、日本語・韓国語では上回っていた競合に抜かれる

推薦型の質問の回答に、計測で登録していた3つの競合アプリの名前が出た割合も比べました。

アプリ日本語韓国語タイ語
計測したアプリ(日本発)91.2%97.1%80.9%
競合 X(海外発)71.2%65.4%84.0%
競合 Y(日本発)75.2%75.7%61.8%
競合 Z(日本発)97.6%91.2%96.9%
※LLMOA の計測データをもとに編集部が集計。推薦型の質問の回答に、そのアプリの名前が出た割合(言及率)。

計測したアプリは、日本語と韓国語では海外発の競合 X を20ポイント以上上回っていました。ところがタイ語では、競合 X(84.0%)を下回っています。競合 X はタイ語で最も名前が出ており、言語によって競合との力関係が入れ替わっていました。

また、日本発の競合 Z は、どの言語でも9割以上の回答に名前が出ており、言語による差がほとんどありませんでした。同じ日本発のアプリでも、言語が変わっても名前が出続けるアプリと、出にくくなるアプリがあるということです。日本語の計測で競合に勝っていても、海外の言語では逆転されている可能性があります。

引用元は、言語ごとにまったく別のサイトだった

推薦型の質問で AI が回答の根拠として引用したサイトも、言語によって大きく異なりました。

言語よく引用されたサイト(自社サイト・アプリストア以外)
日本語専門的な講座の Web サイト、YouTube、Yahoo!知恵袋、note
韓国語Reddit、YouTube、NAVER ブログ、周辺機器メーカーのサイト
タイ語Reddit、YouTube、タイのソフトウェア紹介サイト、Lemon8、Pantip
※LLMOA 調べ。推薦型の質問の回答で引用回数の多かったサイト。

YouTube はどの言語でも引用されていましたが、それ以外は言語ごとに別の顔ぶれでした。韓国語では韓国の NAVER ブログ、タイ語ではタイの掲示板 Pantip や SNS の Lemon8 が根拠になっています。日本語では Yahoo!知恵袋や note でした。

AI は質問された言語で情報を探し、その言語圏のサイトを根拠に答えていることがうかがえます。日本語のサイトでの評判を整えても、韓国語やタイ語の回答には届かない可能性があるということです。

海外展開する企業が、多言語SEOに加えて確認すべき3つのこと

① 進出先の言語で、AIの回答を計測する

日本語の計測結果を、他の言語の市場に当てはめないでください。多言語SEOで各国向けのページを整えていても、AI 検索の回答で同じように紹介されるとは限りません。今回のアプリでも、韓国語では言及率が97.1%あった一方、タイ語では80.9%で、Google AI Overviews に限ると63.3%でした。

進出している国・地域の言語で、顧客が AI にしそうな質問を用意し、繰り返し計測してください。SALT.agency の Moaiandin 氏も、自社のカテゴリで購入前によく聞かれる質問を、進出先の言語で、複数の AI モデルに繰り返し聞くことを勧めています。

② 進出先で引用されているサイトを把握する

AI は質問の言語圏のサイトを根拠に答えていました。進出先の言語で AI が引用しているサイトを確認し、その中に自社の情報があるかを調べてください。

韓国なら NAVER ブログ、タイなら Pantip や Lemon8 のように、現地で使われている掲示板・ブログ・SNS が根拠になっていることがあります。現地のレビューや比較記事に自社が載っていないなら、そこが最初に取り組むべき場所です。

③ 進出先の言語で、競合との差を確認する

今回のアプリでは、日本語と韓国語では上回っていた海外発の競合に、タイ語では抜かれていました。日本語の計測で競合に勝っていても、進出先の言語では逆転されていることがあります。進出先の言語で、AI の回答に一緒に出てくる競合と、自社との差を確認してください。

SALT.agency の調査では、Web 検索を有効にすると推奨されるブランドが大きく変わることも示されました。AI が Web 上の情報を参照する以上、進出先の言語での情報発信によって、AI の回答を変えられる余地があるということです。

LLMOA(エルモア) で、進出先の言語での AI の回答を計測する

AI の回答は、質問する言語によって変わります。海外の顧客に自社がどう紹介されているかを知るには、進出先の言語で、同じ質問を繰り返し計測する必要があります。

グラッドキューブの LLMOA(エルモア)では、登録した質問を主要5つの AI モデルで自動的に計測し続け、言及率・推奨率・競合との比較・引用元を確認できます。日本語以外の言語の質問も登録できるため、進出先の市場ごとに AI での見え方を比べる起点として活用できます。

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調査の概要と注意点

1サービス・3言語・5モデルの回答592回

項目内容
計測ツールLLMOA(エルモア)
計測期間2026年5月24日〜6月22日(30日間)
対象とある日本発のアプリ1サービス
質問同じ内容の質問3問を、日本語・韓国語・タイ語に訳したもの(推薦型2問、指名1問)
AI モデルGoogle AI Overviews、Google AI モード、ChatGPT(gpt-4o-mini)、Gemini(gemini-2.5-flash)、Perplexity(sonar)
回答数592回(うち推薦型392回)

判定の方法: アプリ名と競合の名前は、回答の本文に各言語の表記(英字・カタカナ・ハングル・タイ文字)が含まれるかで判定し、言及率として集計しました。名前が出たときの順位と、それをもとにする推奨率は、言語によって判定の条件をそろえられないため集計していません。

注意点: 1つのサービスの、各言語3問の質問によるデータです。他の業種やブランドで同じ結果になるとは限りません。また、ChatGPT・Gemini・Perplexity は API 経由で計測しており、一般向けのアプリの回答とは異なる場合があります。ここで示した言語による差は、言語そのものの影響なのか、その言語圏で手に入る情報の違いによるものなのかを区別したものではありません。

海外調査との違い: SALT.agency の調査は、英語・アラビア語・ロシア語・中国語・ペルシャ語の5言語で、Claude を中心に2026年9月7日の1日に集めたデータです。SALT.agency は AI が最終的に推奨したブランドを、LLMOA は回答に名前が出たか(言及)を数えており、指標も異なります。言語・AI モデル・カテゴリ・計測期間も異なります。


まとめ:海外でのAIの評判は、その国の言語で確かめる

  • 海外の調査では、同じ質問でも言語によって推奨されるブランドが最大60ポイント変わった(ただし、日本語は対象外)
  • とある日本発のアプリを日本語・韓国語・タイ語で計測すると、言及率(アプリ名が回答に出る割合)は韓国語97.1%、日本語91.2%、タイ語80.9%だった
  • 言語による差の大きさは AI モデルによって違い、Google AI Overviews は日本語100%に対しタイ語63.3%と大きく乖離があった
  • 計測したアプリは、日本語・韓国語では上回っていた海外発の競合に、タイ語では抜かれた。引用元も、言語ごとに現地のブログや掲示板に入れ替わっていた

海外の市場で AI にどう紹介されているかは、日本語の結果からは推し量れません。進出先の言語で計測することが出発点です。

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よくある質問(FAQ)

Q. AIに質問する言語によって、言及されるブランドは変わりますか? 
A. 変わります。SALT.agency の調査では、同じ航空券の質問で easyJet がロシア語では72.5%、ペルシャ語では12.5%推奨されました。LLMOA でとある日本発のアプリを計測した結果でも、アプリ名が回答に出る割合(言及率)は韓国語97.1%、タイ語80.9%と差がありました。
Q. 日本語でAIに言及されていれば、海外でも言及されますか? 
A. そうとは限りません。LLMOA の計測では、とある日本発のアプリの名前が回答に出る割合(言及率)は日本語91.2%に対し、タイ語では80.9%でした。タイ語では、日本語では上回っていた海外発の競合アプリにも抜かれていました。進出先の言語で計測する必要があります。
Q. 言語によってAIが引用するサイトは違いますか? 
A. 違います。LLMOA の計測では、韓国語の回答では NAVER ブログ、タイ語では Pantip や Lemon8、日本語では Yahoo!知恵袋や note が引用されていました。AI は質問された言語圏のサイトを根拠に答える傾向があります。
Q. 海外向けのAI対策では、何から始めればよいですか? 
A. 進出先の言語で、顧客が AI にしそうな質問を繰り返し計測することです。そのうえで、その言語で AI が引用しているサイトと、一緒に名前が出る競合を確認し、現地のレビューや比較記事に自社の情報があるかを調べてください。

参照・引用出典

一次情報(株式会社グラッドキューブ 自社調査)

本記事の LLMOA のデータは、株式会社グラッドキューブが提供する AIO・LLMO 対策プラットフォーム「LLMOA(エルモア)」で計測した自社調査の結果です(2026年5月24日〜6月22日計測)。サービス名と競合の名称は匿名化しており、質問文は内容を変えずに言い換えています。

  • グラッドキューブ調べ(LLMOA 計測):とある日本発のアプリ1サービスの、日本語・韓国語・タイ語の回答データ(回答592回、うち推薦型392回)。言語別・AI モデル別の言及率(回答の本文に各言語のアプリ名の表記が含まれるかで判定)
  • グラッドキューブ調べ(LLMOA 計測):同サービスの推薦型の質問における、言語別の競合の登場割合と、引用されたサイト

外部情報源