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2023.6.2 | 更新日 : 2026.3.17

【担当者必見】広告運用のインハウス化とは?メリット・デメリットから導入の目安・成功のポイントまで解説

Web広告やリスティング広告の運用を行う中で、「このまま代理店に任せ続けるべきか」「社内で運用する体制に切り替えるべきか」と悩む企業は少なくありません。

実際、広告運用の体制は企業によってさまざまですが、コロナ禍を経て、広告運用のインハウス化を検討・推進する企業が増えています。

一方で、インハウス運用には体制構築や人材確保、運用負荷といった課題もあり、メリット・デメリットを理解せずに進めると、かえって成果が出にくくなるケースもあります。

本記事では、現役Webマーケターの視点から、インハウス化のポイントやメリット・デメリット、代理店運用との違いについて解説します。

なお、 Web 広告自体の概要や基本的な仕組みについてはこちらの記事にて解説しておりますので、合わせてご覧ください。 

目次

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目次

Web 広告運用のインハウス化(内製化)とは?

広告運用のインハウス化とは、外部の広告代理店に委託していた運用業務を、自社内のリソースのみで完結させる体制です。

代理店に任せる場合、運用担当者とのコミュニケーションコストや手数料が発生しますが、インハウス化によりこれらを削減できます。


近年、インハウス化が注目される背景には、 Web 広告の自動化テクノロジーが大きく進歩した背景が挙げられます。 Google 広告 や Yahoo! 広告など、各媒体の機械学習の精度が向上し、以前と比べて運用の効率化や成果創出の再現性が高まっています。

その一方で、成果を最大化するためには、戦略設計やデータ分析などの専門的な知識・経験が依然として重要であり、一定の運用スキルは求められます。そのため、体制やリソースを整えたうえでインハウス化に踏み切る企業が増加しています。

Web 広告運用のインハウス化の現状

海外の動向にはなりますが、全米広告主協会(ANA)が2023年に発表したレポートによると、調査対象企業の82%が社内にインハウス・エージェンシー(広告運用や制作を行う専門チーム)を保有していると回答しています。

(参照: The Continued Rise of the In-House Agency: 2023 Edition

これは2018年時点の数値から増加しており、企業が広告活動の主導権を自社に取り戻そうとする動きが加速していることを示しています。

ただし、完全にすべての業務を内製化しているわけではありません。同調査では、インハウス体制を持つ企業の92%が依然として外部パートナーとも連携していると回答しており、専門的な運用領域を代理店と協力して行う「ハイブリッド型」が主流になりつつあります。

Web 広告で成果を出すためには、インハウス運用と代理店委託の両方のメリット・デメリットを踏まえ、自社のフェーズに合った運用体制を選択する必要があります。

インハウス運用をするメリット

インハウス運用をする主なメリットについて以下3点が挙げられます。

■ 自社・業界知識を活かしたスピーディーな施策の実行が可能
■ 広告運用のノウハウを社内に蓄積できる
■ コントロールと透明性の向上
■ 運用代行手数料が削減できる

自社・業界知識を活かしたスピーディーな施策の実行が可能

自社の製品やサービスの魅力を最も深く理解しているのは、社内のメンバーです。インハウス運用であれば、その深い業界知識を直接クリエイティブやターゲティングに反映させられます。

また、代理店を挟まないため、社内での意思決定から施策の実行までのスピードが格段に上がります。急なキャンペーンの変更や市場のトレンド変化に対しても、柔軟かつ迅速に対応できる点は大きな強みです。

広告運用のノウハウを社内に蓄積できる

代理店に運用を完全に委託していると、どのようなキーワードで成果が出たのかといった具体的なノウハウがブラックボックス化しがちです。インハウス化により、成功事例も失敗事例も全て自社の知見として蓄積されます。

これらのデータは、 Web 広告だけでなく、今後の製品開発や他のマーケティング活動にも応用できます。長期的な視点で見れば、企業全体のマーケティング力の底上げに直結いたします。

コントロールと透明性の向上

インハウス運用では、戦略に関する意思決定を直接的に行えます。

自社のビジョンや戦略に基づいた広告費用の割り振り、ターゲット選定などをダイレクトに反映できるため、市場の変化にも即座に対応が可能です。また、広告の成果や課題を詳細に把握でき、商品やサービスの開発等にも意見を反映させやすくなります。

運用代行手数料が削減できる

広告代理店と契約する場合、一般的に広告予算の一定割合(一般的に広告費の20%前後)の手数料が必要となります。

広告運用をインハウスで行うことで手数料分の費用を削減できます。また、支払う手数料を自社のマーケティングのチームに再分配することで優秀な人材の確保も期待できます。

さらに、広告費用を削減し、予算の最大化や ROI(投資利益率) の向上が期待できます。
 

インハウス運用をするデメリット

インハウス運用をする際の主なデメリットについて、以下3点が挙げられます。

■ 人材育成と研修が必要
■ 媒体の最新アップデートや市場トレンドのキャッチアップが難しい
■ 属人化のリスクがある

人材育成と研修が必要

インハウス化のためには、人材育成や運用のノウハウを蓄積するための研修など、環境整備をする必要があります。

また適切なスキルや知識を持った人材の確保も必要です。広告運用は専門的な知識や経験が必要になるため、人材の育成や採用には時間と費用がかかる場合があり、継続的な研修や教育を行う必要があります。

媒体の最新アップデートや市場トレンドのキャッチアップが難しい

Web 広告の世界は非常に変化が激しく、広告の仕様変更が頻繁に行われます。代理店であれば複数の案件を通じて最新情報をいち早く入手できますが、自社運用では自ら積極的に情報収集しなければなりません。

情報が遅れることで、新しい機能の恩恵を受けられず、競合他社に遅れをとる懸念があります。常に最新のトレンドを学び続ける姿勢と、情報収集の仕組みづくりが不可欠です。

属人化のリスクがある

専任担当者が運用業務から外れる場合、その人が持っていた広告運用ノウハウ、スキルが一緒に失われてしまう可能性があります。

また運用業務を担当する社員が一人しかいない場合、予期せぬ事情で休職または退職が発生すると、他の担当者への広告運用に関する作業やタスクの負荷が大きく、生産性の低下につながる可能性もあります。

インハウスで広告運用を行う場合、属人化にならないような組織体制づくりが必要です。
 

広告代理店委託のメリット

広告代理店委託についての主なメリットについて以下4点が挙げられます。

■ 人員や工数を削減できる
■ 広告の専門知識と経験を活かせる
■ 運用以外の周辺業務を一気通貫で任せられる
■客観的な視点で改善提案が受けられる

人員や工数を削減できる

広告運用には専門的な知識や経験が必要ですが、代理店に委託すると知識や経験を持つスタッフに任せることができます。そのため、自社で広告運用を行うために必要な人材を抱えることなく、その分の人件費を削減できます。

また、広告代理店に委託することで自社の社員が広告運用にかける時間や労力を削減し、社員が自社の本業に集中することで生産性の向上につながる可能性があります。

広告の専門知識と経験を活かせる

広告代理店は、広告運用に必要な技術やノウハウを持っており、広告の最適な配信方法やターゲット層の分析などを専門的に行います。

媒体の最新情報を持っていることが多いため、最新の広告配信手法やトレンドにも精通しています。これにより、広告代理店が適切な媒体を選択し、最適な配信方法を提案することで、効果的な広告運用が実現できます。

運用以外の周辺業務を一気通貫で任せられる

広告運用は、管理画面上の設定だけで完結するものではありません。
代理店に委託することで、成果を最大化させるための周辺業務を網羅的にカバーできます。

■ 戦略設計
市場調査に基づいたターゲット選定や、事業目標(KGI)から逆算したKPI設計。

■ クリエイティブ制作・分析
訴求軸の立案からバナー・動画の制作、配信後の反応に基づいた改善。

■ LP(ランディングページ)改善提案
広告の受け皿となるページの直帰率改善や、CVR向上に向けたLPO(最適化)の助言。

■ レポーティングと高度な改善提案
数値を報告するだけでなく、データから読み取れる課題と「次の一手」を具体化。

これにより、点(広告運用)ではなく線(マーケティング全体)での施策展開が可能になります。

客観的な視点による「外部の知見」を事業に取り込める

自社内での運用では、どうしても過去の成功体験や社内の固定観念に縛られてしまうことがあります。代理店という「第三者の視点」を取り入れることで、運用の硬直化を防ぐことができます。

広告代理店委託のデメリット

広告代理店委託についての主なデメリットについて以下3点が挙げられます。

■ 成果が代理店に依存する
■ 運用代行費用の負担が生じる
■ コミュニケーションコストがかかる

成果が代理店に依存する

広告代理店に委託する場合、成果の良し悪しが代理店に依存してしまうことや、自社に運用の知識が蓄積されないというデメリットがあります。

成果報酬型広告を運用する場合、広告代理店が効果的な広告を出すことで報酬を得るため、クライアント企業としては代理店が十分な実績を持っているかを確認する必要があります。

運用代行費用の負担が生じる

広告代理店に広告運用を委託する場合、代理費用が発生します。

代理店は専門知識や運用力を提供するためのサービスを提供しており、その対価として一定の報酬が発生します。これにより広告運用のコストが増加する可能性があります。

コミュニケーションコストがかかる

広告代理店に広告運用を委託する場合、代理店とのコミュニケーションにリードタイムが発生することがあります。

例えば、広告戦略の変更や広告アカウントの調整などの意思決定を行う際には、代理店との打ち合わせや相談が必要です。迅速な対応が必要な場合にはリスクとなる可能性があります。

広告運用の業務内容

実際にインハウスで運用を進める場合、社内でどのような業務が発生するのでしょうか。詳しく解説します。

(1)広告戦略の立案

まずは、広告戦略を作成する必要があります。広告の目標、広告をどこで、誰に、いつ、どのようなメッセージを伝えるかの策定などを行います。

また、予算配分なども戦略立案の一部です。広告のメッセージやクリエイティブの考案など、広告の効果を最大化する戦略立案はマーケティングの知識とデータ分析の能力が必要です。

(2)広告の入稿

広告運用における「入稿」とは、広告プラットフォームやメディアに広告情報などを登録する作業を指します。

具体的な入稿内容や手順は広告の形式や配信先によって異なります。また、入稿のためにはテキストや画像、動画などの広告素材を準備する必要があります。

各媒体によって素材のサイズや効果的な見せ方も異なるため、各媒体に適した素材を用意する必要があります。

(3)広告の運用・分析

運用調整は、広告運用の実施中に行われる、効果や成果を最適化するための作業です。具体的には以下のような要素が含まれます。

データ分析

運用調整の基盤となるのはデータです。広告プラットフォームや分析ツールを活用して、広告の成果のデータや指標を収集・分析し、成果を評価します。

成果の評価

データ分析の結果をもとに、広告運用の成果を評価します。例えば、受注率や広告費を使用する上でのコストパフォーマンスなどの指標を確認し、目標達成度や効果を評価します。

問題の特定と分析

成果評価の結果から、広告運用において問題が特定された場合、その原因や要因を分析します。

広告のターゲット設定やメッセージ、クリエイティブ、配信設定など、さまざまな要素を検討し、問題の原因を特定します。例えば、成果獲得率が低い、広告費用が効果に見合わない、ターゲットからの反応が少ないなどの要因を分析していきます。

改善案の立案

具体的には以下のような例が挙げられます。

■広告メッセージやクリエイティブの改善
問題の分析を踏まえて、広告メッセージやクリエイティブの改善案を考えます。キャッチコピーの改善、映像や画像の変更など、データや市場のトレンド、競合他社の広告活動を考慮して考案していきます。

■ターゲットオーディエンスの再評価
問題の分析を通じて、広告のターゲットが適切でないと判断した場合、ターゲットの属性や行動パターンを再評価し、より正確なターゲティングを行います。

データ分析や市場調査をもとに、より適切なターゲット層を特定し、成果獲得率の向上を図ります。例えば、配信地域の見直し、関心や購入履歴に基づいてパーソナライズされた広告を展開するなどの改善案が考えられます。

インハウス化への移行を検討するタイミング(導入の目安)

メリットとデメリットを理解した上で、自社がいつインハウス化に踏み切るべきか悩むケースは多いはずです。ここでは、移行を検討すべき3つのタイミングをご紹介します。

広告費(運用代行手数料)が一定の基準を超え、負担となっている

インハウス化を検討すべき1つの目安は、毎月の運用代行手数料が社内で専任担当者を1人雇用するコストを上回ったタイミングです。例えば、手数料だけで数十万円以上支払っている場合、そのコストを人件費に回した方が費用対効果が高まる可能性があります。

ただし、目先のコスト削減だけで判断すると、成果が落ちてトータルの売上が減少してしまうケースもあるため注意が必要です。手数料の削減額と、社内リソースのバランスを慎重に見極めましょう。

社内にマーケティング知識やリソースを持つ人材がいる

すでに社内に Web マーケティングの基礎知識を持つ人材や、新しいツールへの学習意欲が高いメンバーがいる場合は、インハウス化への移行がスムーズです。ゼロから未経験者を育てるよりも、成功する確率が格段に上がります。

また、広告運用だけでなく、クリエイティブを制作するデザイナーや、ウェブサイトを改修するエンジニアとの連携が取りやすい環境であるかどうかも重要な判断基準です。

既存の代理店運用でのスピード感や成果に課題を感じている

現在の広告代理店とのやり取りにおいて、施策の反映に時間がかかりすぎると不満を感じている場合は、インハウス化を検討する良い機会です。自社で運用することで、思いついた施策をその日のうちにテストできる環境が手に入ります。

また、自社の複雑なビジネスモデルを代理店が十分に理解しておらず、成果が頭打ちになっているケースも少なくありません。自社の深い理解を直接運用に反映させることで、状況を打破できる可能性があります。

インハウス運用のポイント

インハウス運用を効果的に進めるためには、以下の重要なポイントを押さえておく必要があります。

(1)運用の目的を明確にする

インハウス運用を始める前に、広告運用の目的を明確に設定することが不可欠です。

例えば、売上の向上、ブランド認知度の拡大、新規顧客の獲得など、具体的な目標を定めることで、広告戦略を効果的に設計できます。明確な目的があることで、どの媒体を選ぶべきか、どのようなメッセージを伝えるべきかがクリアになり、運用全体の方向性が決まります。

(2)ロードマップを引く

次に、運用のロードマップを作成します。
ロードマップは、インハウス運用の計画と進捗を管理するための重要なツールです。具体的には、1~3ヶ月目の短期目標と、長期的な目標に向けたステップを設定します。

また各フェーズで取り組むべきことを具体的に示すことで、より行うべきことが明確になります。例えば、初期段階では基礎的な広告設定や効果測定、中期段階では高度なターゲティングや A/B テスト、後期段階では自動化やAIの導入など詳細に記載します。
このようにロードマップを策定することで、各段階でのタスクやリソースの配分を整理し、効率的な運用を支援します。

(3)長期的に改善を図る

広告運用は、一朝一夕で成果が出るものではありません。
そのため、長期的な視点で改善を続けることが必要です。広告文やクリエイティブの効果を地道に検証し、データを基に改善を繰り返すことで、運用効果を徐々に高めていきます。

また検証をする上で広告の数値だけでなく、 Google Analytics などの広告を踏まれた後のユーザーの具体的な行動データなどを活用し、成果の改善を図る必要があります。
こうした継続的な改善プロセスが重要です。

(4)他の選択肢を検討する

インハウス運用だけでは成果が出にくい場合、他の選択肢も検討すると良いでしょう。
例えば、広告代理店に運用を委託する、インハウス運用と代理店運用を併用する、インハウス支援サービスを利用するなど、企業の状況に応じた柔軟な運用方法を考えることが重要です。

このように、インハウス運用が最適であるかを定期的に見直し、最善の選択を行うことで、企業の目標達成に向けた最適な戦略が見つかります。

広告代理店の選び方についてこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。


インハウス運用の未来とトレンド予測

今後、Web広告運用のインハウス化はさらに進むと予測されています。
特に以下の3つのトレンドに注目が集まっています。

■ AI と自動化の導入
広告運用における AI 技術(Google 広告の P-MAX 等)の進化により、データ分析やターゲティングが自動化され、少人数でも高度な運用が可能です。
これにより、インハウス運用の効率が向上し、コストの削減も期待されます。

■脱Cookieとファーストパーティデータの活用

プライバシー保護の観点から、Cookie 規制(3rd Party Cookie の廃止など)が進んでいます。 そこで重要になるのが、企業が自社で保有する「ファーストパーティデータ(顧客リストや購入データ)」です。この貴重なデータを広告媒体と連携させ、個人情報を保護しながら安全に最大活用できるのは、データを保有しているインハウスならではの強みとなります。

■コンテンツのパーソナライゼーション
広告のクリエイティブやメッセージを、ターゲットユーザーのニーズや行動に合わせてパーソナライズする動きが加速しています。
これにより、広告の効果が向上し、ユーザー体験が強化されます。

インハウス運用は、これらのトレンドを活用し、より柔軟で効果的な広告運用を実現するための重要な選択肢です。

おわりに

本エントリでは、広告運用におけるインハウス運用と代理店委託のメリット・デメリットや、広告運用の業務内容について解説しました。

インハウス化か代理店委託かは、どちらが優れているというものではなく、企業のフェーズや体制によって最適な選択は異なります。

自社の目標やニーズ、リソース、経済的な条件、求められる専門性などを踏まえたうえで、最適な運用体制を検討していきましょう。

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Glad Cube

この記事を書いた人

グラッドキューブ ブログ編集部

株式会社グラッドキューブでWeb広告運用を行っているスタッフが、広告媒体の最新情報や運用ノウハウを発信。運営中のYouTubeチャンネル「GladCube TV」はチャンネル登録数1.4万人を突破。

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