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Web 広告運用のインハウス化とは?メリット・デメリット、業務内容などを詳細に解説

広告運用のインハウス化の動向は企業によって異なりますが、コロナ禍を経てインハウス化が進んでいると言われています。

自社でインハウス運用をする際にどういったことに気をつけるべきなのか、またインハウス運用のメリットとデメリットを理解することで、委託すべきかどうかを慎重に判断することができます。

本エントリでは、現役 Web マーケターが現場で感じるそれぞれのメリット・デメリットについて、また実際の広告運用業務などを解説します。

目次

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Web 広告運用のインハウス化とは?

Web 広告運用のインハウス化とは、企業が自社内で広告運用を行うことを指します。

従来、広告運用は広告代理店に委託するのが一般的でしたが、インハウス化を選ぶ企業が増加しています。その背景には、広告運用における透明性の確保や、コスト削減のニーズが高まっていることが挙げられます。

インハウス化の最大のメリットは、広告運用に関するすべてのプロセスを自社で管理できる点です。

これにより、自社のビジネス目標や戦略に合致した広告運用が可能となり、業界知識や自社の強みを広告に反映させやすいです。また、意思決定を迅速に行えることも大きな利点です。

一方で人材育成や情報収集に時間やリソースを割く必要があるため、運用には一定の課題も伴います。

Web 広告運用のインハウス化の現状

2018年に発表された、デジタル広告のインハウス化について調査した報告書「 Programmatic In-Housing (プログラマティック・インハウス)」によると、65% が何らかのかたちで広告のインハウス化を行っていると回答しています。(調査対象:大手広告主119社)

そのうち18%が完全にインハウス化を行っており、残り47%が一部をインハウス化を行っていると回答しています。

(参照: Nearly Two-Thirds of Brands Purchasing Ads Through Programmatic Means Have Fully or Partially Moved the Function In-house, According to IAB Research

上記はアメリカの調査ですが、コロナ禍を経てインハウスを検討されている方も多いのではないでしょうか。また、これまで Web 広告は行っていなかったものの、オンライン集客の必要性を感じ、 Web 広告の活用を検討されている方も多いかと思います。

Web 広告で成果を出すためには、インハウス運用と代理店委託の両方のメリット・デメリットを踏まえ、自社に合った手段を選択する必要があります。

インハウス運用をするメリット

インハウス運用をする主なメリットについて以下3点が挙げられます。

■ 自社・業界知識が活用できる
■ コントロールと透明性の向上
■ 運用代行手数料が削減できる

自社・業界知識が活用できる

業界の知識や自社商品、サービスの知識、事業状況のへの深い理解を広告運用に活かすことができます。

自社のマーケティングチームが広告運用を担当することで、企業のビジョンや価値観を広告戦略へ反映できます。また、顧客データの活用して広告の機械学習を強化し、より適切なターゲットに広告を配信することも可能です。

コントロールと透明性の向上

インハウス運用では、戦略に関する意思決定を直接的に行えます。

自社のビジョンや戦略に基づいた広告費用の割り振りや、ターゲットオーディエンスの選定などが可能となり、迅速に意思決定を行えます。

また、広告の成果や課題を詳細に把握でき、商品やサービスの開発等にも意見を反映させやすくなります。

運用代行手数料が削減できる

広告代理店と契約する場合、一般的に広告予算の一定割合(一般的に広告費の20%)の手数料が必要となります。

広告運用をインハウスで行うことで手数料分の費用を削減できます。また、支払う手数料を自社のマーケティングのチームに再分配することで優秀な人材の確保も期待できます。

さらに、広告費用を削減し、予算の最大化や ROI の向上が期待できます。
 

インハウス運用をするデメリット

インハウス運用をする主なデメリットについて以下3点が挙げられます。

■ 人材育成と研修が必要
■ 情報が限定される
■ 属人化のリスクがある

人材育成と研修が必要

インハウス化のためには、人材育成や運用のノウハウを蓄積するための研修など、環境整備をする必要があります。

適切なスキルや知識を持った人材の確保も必要です。広告運用は専門的な知識や経験が必要になるため、人材の育成や採用には時間と費用がかかる場合があり、継続的な研修や教育を行う必要があります。

情報が限定される

インハウス広告運用では、外部の広告代理店や専門業者に比べて情報が限定的になる可能性があります。

広告代理店は複数のクライアントや業界を担当しており、広範な市場情報や他社の広告戦略、トレンドなどにアクセスできます。自社内ではその範囲が制限されるため、より広い視野での情報収集が求められます。

属人化のリスクがある

専任担当者が辞めた場合、その人が持っていた広告運用ノウハウ、スキルが一緒に失われてしまう可能性があります。

また、広告運用を担当する社員が一人しかいない場合、その人が急に休職した場合や予期せぬ事情で退職してしまうと、広告運用に関する作業やタスクの負荷が残りの社員にかかり、生産性の低下につながる可能性もあります。

インハウスで広告運用を行う場合、属人化にならないような組織体制づくりが必要です。
 

広告代理店委託のメリット

広告代理店委託についての主なメリットについて以下2点が挙げられます。

■ 人員や工数を削減できる
■ 広告の専門知識と経験を活かせる

人員や工数を削減できる

広告運用には専門的な知識や経験が必要ですが、代理店に委託すると知識や経験を持つスタッフに任せることができます。

自社で広告運用を行うために必要な人材を抱えることなく、その分の人件費を削減できます。

また、広告代理店に委託することで自社の社員が広告運用にかける時間や労力を削減し、社員が自社の本業に集中することで生産性の向上につながる可能性があります。

広告の専門知識と経験を活かせる

広告代理店は、広告運用に必要な技術やノウハウを持っており、広告の最適な配信方法やターゲット層の分析などを専門的に行います。

媒体の最新情報を持っていることが多いため、最新の広告配信手法やトレンドにも精通しています。これにより、広告代理店が適切な媒体を選択し、最適な配信方法を提案することで、効果的な広告運用が実現できます。

また、広告代理店は各媒体の特徴やロジックにも詳しいため、媒体やロジックのことを熟知した配信が可能です。
 

広告代理店委託のデメリット

広告代理店委託についての主なデメリットについて以下3点が挙げられます。

■ 成果が代理店に依存する
■ 運用代行費用の負担が生じる
■ コミュニケーションコストがかかる

成果が代理店に依存する

広告代理店に委託する場合、成果の良し悪しが代理店に依存してしまうことや、自社に運用の知識が蓄積されないというデメリットがあります。

成果報酬型広告を運用する場合、広告代理店が効果的な広告を出すことで報酬を得るため、クライアント企業としては代理店が十分な実績を持っているかを確認する必要があります。

運用代行費用の負担が生じる

広告代理店に広告運用を委託する場合、代理費用が発生します。

代理店は専門知識や運用力を提供するためのサービスを提供しており、その対価として一定の報酬が発生します。これにより広告運用のコストが増加する可能性があります。

コミュニケーションコストがかかる

広告代理店に広告運用を委託する場合、代理店とのコミュニケーションにリードタイムが発生することがあります。

例えば、広告戦略の変更や広告アカウントの調整などの意思決定を行う際には、代理店との打ち合わせや相談が必要です。迅速な対応が必要な場合にはリスクとなる可能性があります。

広告運用の業務内容

実際にインハウスで運用を進める場合、社内でどのような業務が発生するのでしょうか。詳しく解説します。

(1)広告戦略の立案

まずは、広告戦略を作成する必要があります。広告の目標、広告をどこで、誰に、いつ、どのようなメッセージを伝えるかの策定などを行います。

また、予算配分なども戦略立案の一部です。広告のメッセージやクリエイティブの考案など、広告の効果を最大化する戦略立案はマーケティングの知識とデータ分析の能力が必要です。

(2)広告の入稿

広告運用における「入稿」とは、広告プラットフォームやメディアに広告情報などを登録する作業のことです。

具体的な入稿内容や手順は広告の形式や配信先によって異なります。また、入稿のためにはテキストや画像、動画などの広告素材を準備する必要があります。

各媒体によって素材のサイズは異なります。また、効果的な見せ方も異なるため、各媒体に適した素材を用意する必要があります。

(3)広告の運用・分析

運用調整は、広告運用の実施中に行われる、効果や成果を最適化するための作業です。

具体的には以下のような要素が含まれます。

データ分析

運用調整の基盤となるのはデータです。

広告プラットフォームや分析ツールを活用して、広告の成果のデータや指標を収集・分析し、成果を評価します。

成果の評価

データ分析の結果をもとに、広告運用の成果を評価します。

例えば、受注率や広告費を使用する上でのコスとパフォーマンスなどの指標を確認し、目標達成度や効果を評価します。

問題の特定と分析

成果評価の結果から、広告運用において問題が特定された場合、その原因や要因を分析します。

広告のターゲット設定やメッセージ、クリエイティブ、配信設定など、さまざまな要素を検討し、問題の原因を特定します。例えば、成果獲得率が低い、広告費用が効果に見合わない、ターゲットからの反応が少ないなどの要因を分析していきます。

改善案の立案

具体的には以下のような例が挙げられます。

■広告メッセージやクリエイティブの改善
問題の分析を踏まえて、広告メッセージやクリエイティブの改善案を考えます。キャッチコピーの改善、映像や画像の変更など、データや市場のトレンド、競合他社の広告活動を考慮して考案していきます。

■ターゲットオーディエンスの再評価
問題の分析を通じて、広告のターゲットが適切でないと判断した場合、ターゲットの属性や行動パターンを再評価し、より正確なターゲティングを行います。

データ分析や市場調査をもとに、より適切なターゲット層を特定し、成果獲得率の向上を図ります。例えば、配信地域の見直し、関心や購入履歴に基づいてパーソナライズされた広告を展開するなどの改善案が考えられます。

インハウス運用のポイント

インハウス運用を効果的に進めるためには、以下の重要なポイントを押さえておく必要があります。

(1)運用の目的を明確にする

インハウス運用を始める前に、広告運用の目的を明確に設定することが不可欠です。

例えば、売上の向上、ブランド認知度の拡大、新規顧客の獲得など、具体的な目標を定めることで、広告戦略を効果的に設計できます。明確な目的があることで、どの媒体を選ぶべきか、どのようなメッセージを伝えるべきかがクリアになり、運用全体の方向性が決まります。

(2)ロードマップを引く

次に、運用のロードマップを作成します。

ロードマップは、インハウス運用の計画と進捗を管理するための重要なツールです。具体的には、1~3ヶ月目の短期目標と、長期的な目標に向けたステップを設定します。

また各フェーズで取り組むべきことを具体的に示すことで、より行うべきことが明確になります。例えば、初期段階では基礎的な広告設定や効果測定、中期段階では高度なターゲティングや A/B テスト、後期段階では自動化やAIの導入など詳細に記載します。

このようにロードマップを引くことで、各段階でのタスクやリソースの配分を整理し、効率的な運用を支援します。

(3)長期的に改善を図る

広告運用は、一朝一夕で成果が出るものではありません。

そのため、長期的な視点で改善を続けることが必要です。広告文やクリエイティブの効果を地道に検証し、データを基に改善を繰り返すことで、運用効果を徐々に高めていきます。

また検証をする上で広告の数値だけでなく、 Google Analytics などの広告を踏まれた後のユーザーの具体的な行動データなどを活用し、成果の改善を図る必要があります。

こうした継続的な改善プロセスが重要です。

(4)他の選択肢を検討する

インハウス運用だけでは成果が出にくい場合、他の選択肢も検討すると良いです。

例えば、広告代理店に運用を委託する、インハウス運用と代理店運用を併用する、インハウス支援サービスを利用するなど、企業の状況に応じた柔軟な運用方法を考えることが重要です。

このように、インハウス運用が最適であるかを定期的に見直し、最善の選択を行うことで、企業の目標達成に向けた最適な戦略が見つかります。

広告代理店の選び方についてこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

インハウス運用の未来とトレンド予測

今後、Web広告運用のインハウス化はさらに進むと予測されています。

以下のトレンドに注目が集まっています。

■ AI と自動化の導入
広告運用における AI 技術の進化により、データ分析やターゲティングが自動化され、少人数でも高度な運用が可能です。
これにより、インハウス運用の効率が向上し、コストの削減も期待されます。

■データドリブンマーケティングの強化
自社データを活用した広告運用がますます重要です。
ターゲットユーザーに対する精緻なアプローチが求められる中で、データに基づく戦略が不可欠となり、競争力を高めるための鍵となるでしょう。

■コンテンツのパーソナライゼーション
広告のクリエイティブやメッセージを、ターゲットユーザーのニーズや行動に合わせてパーソナライズする動きが加速しています。
これにより、広告の効果が向上し、ユーザーエクスペリエンスが強化されます。

インハウス運用は、これらのトレンドを活用し、より柔軟で効果的な広告運用を実現するための重要な選択肢です。

おわりに

本エントリでは広告運用におけるインハウス運用と代理店委託のメリットやデメリット、そして広告運用の業務内容について紹介しました。

広告運用においてインハウス化か代理店委託運用かを選択する際には、メリット・デメリットを考慮した上で判断をすることが重要です。企業の目標やニーズ、リソース、経済的な要素、専門知識などを総合的に考慮し、戦略的な判断を行っていただければと思います。

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この記事を書いた人

Glad Cube

グラッドキューブ ブログ編集部

株式会社グラッドキューブでWeb広告運用を行っているスタッフが、広告媒体の最新情報や運用ノウハウを発信。運営中のYouTubeチャンネル「GladCube TV」はチャンネル登録数1.4万人を突破。

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