Google 検索広告 平均 CPC の高騰を防ぐ鍵は広告ランクと広告の品質
みなさま、こんにちは。
グラッドキューブ SiTest 事業部の梶井です。
検索広告を運用していると、キーワードによっては
「平均 CPC が高すぎて、目標 CPA を達成できる気がしない」
「入札単価が高くて費用対効果が見合わない」
といったことがあります。
CPC が高くなると、当然 CPA も高くなる傾向があり費用対効果が見合わなくなってしまいます。しかし、Google 検索広告ではアカウントの調整によって平均 CPC を下げつつ、今までどおりの位置に広告を掲載できる可能性があります。
本エントリでは、実際のクリック単価に影響する広告ランクと広告の品質について解説いたします。
YouTube でも詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
広告ランクの仕組み
広告ランクとは
Google 検索広告では、ユーザーが検索したときにどの広告をどこに掲載するかをオークションによって決定します。広告ランクとは、そのオークションの中で広告掲載の有無や掲載位置を決めるために使われる指標です。
また、広告がある特定の位置に掲載されるためには、広告ランクの最低基準を満たす必要があります。したがって、広告ランクが低く、最低基準に満たない場合には広告が表示されません。
また、競合する広告がまったく無い場合でも、広告掲載に必要な最低基準は満たす必要があります。
参考:広告ランクの最低基準: 定義 – Google 広告 ヘルプ
広告ランクを構成する要素
広告ランクは、下記の4つの要素によって算出されます。
- ◼ 入札単価
- ◼ 広告とランディングページの品質
- ◼ 広告表示オプションやその他の広告フォーマットの効果
- ◼ ユーザーが検索に至った背景
しかし、広告主はこれらすべての要素を制御できるわけではありません。上記を含めて、それぞれの要素の詳細について順に説明していきます。
入札単価
広告グループ、またはキーワードに設定されている入札単価です。入札単価を引き上げることで広告ランクが上がり、掲載位置が高くなる可能性があります。
たとえば、入札単価が100円の広告と200円の広告では200円の広告のほうが掲載順位が高くなる可能性が高いということになります。
広告とランディングページの品質
広告とそのリンク先のウェブサイトがユーザーにとってどれほど的確で有用であるかも判断基準となります。Google 広告で広告の品質がどのように評価されるかは、品質スコアでわかります。
この要素は本エントリのテーマである平均 CPC の高騰を防ぐ鍵です。
Google はこの要素の改善を推奨しており、この要素を改善することで低い入札単価でも高い順位に広告が掲載される可能性が高くなります。
この要素の改善方法については、後述いたします。
広告表示オプションやその他の広告フォーマットの効果
入札単価と品質が同じであれば、広告表示オプションの効果が高いと見込まれる広告の方が上位に掲載されます。
2018年より、広告表示オプションも広告ランクの算出に考慮されるようになっています。
入札単価と広告とランディングページの品質が同じ場合であれば、広告表示オプションの効果によって掲載順位が決まります。したがって、広告表示オプションはオプションの表示によって広告効果が高くなると判断された場合にのみ、広告ランクにプラスの影響を与えると考えられます。
ユーザーが検索に至った背景
広告オークションにおいてコンテキストは重要な要素です。広告ランクを算出する際は、ユーザーが入力した検索語句、検索時のユーザーの所在地、使用端末(例: モバイル端末か PC か)、時刻、検索語句の性質、同じページに表示される他の広告や検索結果をはじめ、さまざまなユーザー シグナルや属性が考慮されます。
この要素は、広告主による厳密な制御、効果検証ができません。
Google はユーザーにとって、最適な検索結果、広告が表示されるように設定されています。その最適な広告がどういったものなのかを判断するために、ユーザーの過去の検索結果や検索に使用しているデバイスといったユーザーの属性を広告ランクの算出に利用していると考えられます。
しかし、広告主は検索広告においてユーザーが検索に至った背景や同時に表示されている広告などを基準にしたターゲットはできません。ユーザーのリスト等によって大まかなターゲットは可能ですが、シグナルすべてに対応することは困難です。
この要素については、Google がこれらの要素も広告ランクの算出に利用しているということだけ覚えてきましょう。
平均 CPC が高騰する原因
広告ランクは上記で説明した要素のそれぞれの評価を考慮して算出されます。つまり、平均 CPC が高くなっているということは広告ランクの内訳において、入札単価の貢献度が高すぎる可能性があります。
そのため、平均 CPC を下げつつ広告を掲載するためには、ただ入札単価を引き下げるのではなく広告ランクの他の要素の評価を上げる必要があります。
入札単価の代わりに広告主が改善するべき要素が「広告とランディングページの品質」です。
広告品質の3大要素を改善しよう
広告の品質の重要性
広告の品質は Google 広告において重要な指標です。
本エントリのテーマである実際のクリック単価について、ヘルプでは下記のように記載されています。
一般的に広告の品質が高いほど、クリック単価は低くなります。
広告の品質が高いほど費用は抑えられ、広告の掲載順位が高くなり、広告効果が高まります。Google 広告システムは、ユーザーの探している情報に合致する関連性の高い広告が表示されると、広告主様、ユーザー、サイト運営者様、そして Google のすべてにメリットを生み出す仕組みになっています。
Google はユーザーにとって質の高い広告が表示されるようにするため、この要素を重要視しています。
ヘルプに記載のとおり、この要素を改善することによってユーザーには最適な広告が表示され、広告主は費用対効果の改善になるため関係者すべてにメリットがあります。
広告の品質もいくつかの要素によって構成されています。なかでも重要な要素が3つあります。
広告品質の3大要素とは
Google は広告の品質を構成する要素の中で、下記の3つを「広告品質の3大要素」としています。
- ◼ 推定クリック率
- ◼ 広告の関連性
- ◼ ランディングページの利便性
これらの要素を改善するにあたって、その方法に共通しているポイントが「関連性」です。
ユーザーはなにかの情報を探して検索行動をとります。その際に使用された検索語句に対して適切な広告が表示されているかという検索語句と広告の関連性が1つのポイントになります。
また、表示された広告文に惹かれたユーザーに対して、リンク先でユーザーの期待通りの情報を表示できているかどうかも重要です。
検索語句と広告のクリエイティブ(広告文・ランディングページ)の関連性が高く、ユーザーにとって最適な広告が表示されるようにアカウントを設計する必要があります。
広告品質の3大要素の評価は上記のユーザーにとって最適な設計になっているのかを示す指標とも考えられます。
以下では、3大要素のそれぞれの意味と改善方法について解説いたします。
推定クリック率
指定したキーワードが広告のクリックにつながるかどうかを予測します。
このステータスは、広告との関連性が低く十分な掲載結果が期待できないキーワードの特定に役立ちます。
この要素の評価を改善するためには、キーワードと広告の関連性を高める必要があります。
改善策:キーワードに広告文を含める
キーワードを広告文に含めることで、キーワードと広告文の関連性が高くなり広告のクリック率が高くなる傾向があります。
例えば、「冷蔵庫 通販」という語句で検索した場合、「家電を買うなら〇〇通販」という広告文と「冷蔵庫を買うなら〇〇通販」という広告文が表示されるとします。
このとき、後者の「冷蔵庫を買うなら〇〇通販」の方が、ユーザーが求めている情報に関連性が高い広告文であるためクリック率が高くなると考えられます。
改善策:広告文を具体的な内容にする
汎用的な広告文よりも、自社商品やサービスにおいて特徴的なポイントをアピールすることで、推定クリック率が改善される可能性があります。
例えば、「冷蔵庫を買うなら〇〇通販」はどのようなサイトでも使用できる汎用的な広告文です。
一方で「冷蔵庫の在庫一掃セール中!」や「〇〇受賞の冷蔵庫」という広告文はこれらのニーズにあてはまるユーザーに対してはクリック率は高くなると考えられます。
広告の関連性
このステータスは、キーワードと広告内のメッセージがどの程度合致しているかを示します。
ステータスが「平均より下」の場合は、広告またはキーワードが具体性に欠けるか、広告グループの網羅するトピックが多すぎる可能性があります。広告と密接に関連するキーワードを少数に限定し、テーマを絞り込んだ広告グループを作成します。
この要素の評価が低い場合についても、キーワードと広告の関連性が課題です。
また、ユーザーが検索した語句に対して適切な広告文を表示できていない可能性があります。
改善策:アカウント構成の見直し
1語の部分一致キーワードを入稿している場合には、2語の部分一致キーワードに細分化し、さらに広告グループを分けることでキーワードと広告の関連性が高くなる可能性があります。
たとえば、「冷蔵庫」という部分一致キーワードを入稿している場合には「冷蔵庫」を含む検索語句すべてに同じ広告グループの広告が表示されます。
しかし、冷蔵庫をふくむ検索語句はいくつかのテーマに分けることができます。
「冷蔵庫 セール」と「冷蔵庫 大型」では表示するべき広告文が異なります。
1語の部分一致キーワードによって広告掲載をしていると、検索語句に対して適切な広告文が表示できず広告の関連性だけでなく、推定クリック率も低く評価されてしまう傾向があります。
「冷蔵庫 セール」「冷蔵庫 大型」といったように2語のキーワードに細分化することで広告を表示する検索語句を制御できます。
そして、細分化したキーワードをテーマごとに分けて別々の広告グループに入稿すれば、それぞれのキーワードに対して関連性の高い広告文を表示できるようになります。
一つの広告グループにすべてのキーワードを入稿すると、キーワードに対して適切な広告を表示できません。
そして、先ほど説明した「キーワードを広告文に含める」という施策も実施できません。
キーワードに対して適切な広告文を掲載できるようにアカウントの構成を見直しましょう。
アカウントの構成に関しては、以前ブログでも記載しております。
ご興味のある方は、合わせてご覧ください。
参考:Google 広告リスティング設定ガイド(広告グループ編)
参考:Google 広告リスティング設定ガイド(広告・広告表示オプション・キーワード編)
改善策:除外キーワードを設定する
広告の関連性を高めるもう一つの方法として、除外キーワードの設定があります。
先述したとおり、関係のないキーワードに対して広告が表示された場合には広告の関連性が低いと判断されます。
その状態では広告とランディングページの品質が低く評価されているため、クリックされると実際のクリック単価が高い可能性があります。
無駄な費用をかけないためにも、除外キーワードの設定をしておきましょう。
ランディングページの利便性
ランディング ページの利便性とは、広告をクリックしてサイトを訪れたユーザーが目的の情報をどの程度簡単に見つけられるかを示す AdWords の指標です。ランディング ページは広告をクリックしたユーザーに表示されるため、その利便性は自動化されたシステムと人による評価を組み合わせて分析されます。
この要素が低い場合には、検索語句やキーワード、広告文とランディングページの関連性が低い可能性があります。
また、この要素においては関連性だけでなく、ランディングページ自体のパフォーマンスについても改善が必要な場合があります。
改善策:キーワード・広告との関連性を改善する
キーワードや広告との関連性が低いと考えられる場合には、キーワードや広告ごとに別のランディングページを設定することで改善されます。
たとえば、「冷蔵庫 通販」で検索し「冷蔵庫を買うなら〇〇通販」という広告文をクリックしたユーザーがほしい情報は冷蔵庫の情報です。
つまり、冷蔵庫に関する語句で検索し、冷蔵庫に関する広告をクリックしたときのランディングページは、冷蔵庫の購入ページや冷蔵庫を特集しているページであることが好ましいです。
このときに、リンク先が家電の検索ページであったり、電子レンジに関するランディングページでは関連性が低いと判断される可能性があります。
大規模な EC サイトなど、自社の商品やサービスが幅広いほどこの改善は効果的です。
Google 検索広告では、検索語句と広告、ランディングページの関連性が高くなるように広告を自動で生成する仕組みもあります。
こちらに関しては以下の記事をご参考ください。
参考:動的検索広告( DSA )でリーチ拡大 その効果を事例とともにご紹介
改善策:モバイル向けに最適化する
ランディングページの利便性には、読み込み速度やモバイル向けに最適化がされているかどうかといったページそのもののパフォーマンスも考慮されています。
近年では、業界を問わずスマートフォンからのアクセスが増えています。
パソコン向けに作成されたランディングページは、スマートフォンでアクセスすると読み込みに時間がかかったり、操作性が悪いことがあります。
CVR はこの要素の評価には影響しませんが、ユーザーにより快適に使用してもらうためにも自社のランディングページが各デバイスで快適な操作が可能か確認してみましょう。
また、ページの読み込み時間に関しては Google Developers の PageSpeed Insights や Google が提供している Test My Site を用いることでパフォーマンスを計測できます。
なお、Test my site が検証できるのはモバイルで表示したときのサイトのパフォーマンスです。
参考:PageSpeed Insights – Google Developers
参考:Test My Site
【補足】品質スコアとは
品質スコアと「広告とランディングページの品質」を混同されることが多いですがこの2つは異なる指標です。
品質スコアとは、広告とランディングページの品質の1~10の数値で評価したものです。
品質スコアは広告ランクの算出に使用されない
よく勘違いされている点として、「品質スコアの数値が広告ランクの算出に使用されている」ということです。
しかし、実際に使用される広告ランクの算出に管理画面上で確認できる品質スコアは使用されません。
広告ランクに使用されるのは、オークションごとに計算される「広告とランディングページの品質」です。
また、以前は「広告ランク=品質スコア × 入札単価」と考えられていましたが、こちらは誤りです。
先述したとおり、現在では広告ランクはさまざまな要素で算出されていますので誤解のないようにご注意ください。
おわりに
広告ランクは掲載有無と掲載位置を決定する指標です。
この広告ランクを入札単価によってあげようとすると、平均 CPC が高騰してしまい結果として CPA も高騰してしまいます。
入札単価は広告ランクをあげる一つの手段にすぎません。
広告とランディングページの品質を改善することで、入札単価を上げずに広告ランクを上げることが可能です。
広告とランディングページの品質のどこに問題があるのかは、Google 広告の管理画面「品質スコア」を構成する要素の評価で確認できます。
ユーザーがどのような情報を求めているのか、それに対して適切な情報を掲示できているか、という切り口でアカウントの調整をしてみましょう。
弊社では、インターネット広告の運用からランディングページの解析、改善まですべて一気通貫で承っております。
広告の運用だけでなく、ランディングページの改善にお悩みの方もぜひお気軽にご連絡ください。
参考:【 Web 広告運用中の方必見】広告アカウントの無料診断はこちら
SNSでもお役立ち情報をお届けします!